各地で「みどりの窓口」の廃止が進んでいます。特にJR西日本では顕著で、中国地方では、路線の中核駅とも思われる駅ですでに廃止され、他の主要駅でも近い将来の廃止が示唆されています。代わりに設置が進むのは指定席も買える券売機。これはある意味、由々しき問題ですが、ユーザーとしては対応していくしかありません。そこで「今のうちに慣れておこう、おじさんのための券売機講座」です。(写真〈1〉)

〈1〉JR西日本のみどりの券売機プラス(安土駅で)
〈1〉JR西日本のみどりの券売機プラス(安土駅で)

あくまで私の知る限りですが、いつもみどりの窓口に長い列ができているなぁ、と思うのは新大阪駅の在来線と新幹線の乗り換え口です。ところが、かなりの台数が設置されている券売機コーナーで長時間並んだ記憶はありません。つまり有人窓口は混雑している一方、券売機はガラガラなのです。どうしてこんなことになるのかというと、券売機の扱いが面倒だと感じている方が多いのでしょう。客層を見ると、若い人やビジネスマンが多い券売機に対して窓口では年配の方や女性のグループ旅行が目立ちます。

ただいつまでもそんなことを言ってはいられません。JR西日本は、将来的に現在180駅にあるみどりの窓口を30駅にすると宣言しています。どの30駅なのかは公表されていませんが大幅な削減です。

あくまで私の予想ですが、今の若い方々は幼いころからデジタルというか機械に慣れています。30歳を過ぎてワープロで原稿を書けと言われ「こんなん無理や。手書きの方が早い」とボヤいているうちに今度はパソコンなるものを渡されウロウロした私の世代とは大違い。極端な話、券売機のみになってもホイホイと使いこなすのではないでしょうか。だからわれわれ「おじさん」も対応していく必要があります。(写真〈2〉)

〈2〉JR東日本の指定席券売機
〈2〉JR東日本の指定席券売機

まず券売機のメリットを知らなければ、なかなか手が出ないですよね。分かりやすい例を挙げると「窓口が営業時間外でも購入できる」「画面で座席指定ができる」があります。地域によって異なりますが、窓口が夜の9時に終了なんてのはよくある話で、昼休みで窓口不在なんてのも普通にある。その点、券売機は長時間の営業が可能。また窓口では窓際か通路側の二択ぐらいしか指定券を取れませんが、券売機だと座席画面から購入できるので夕方に西側を避けることもできます。複数のJR各社をまたいでPCやスマートフォンでの切符予約や受け取りが困難な場合も大丈夫。昨年8月8日に青春18きっぷの記事でムーンライトながらについて「こまめにチェックを」と書きましたが、券売機なら簡単です。

まずは触ってみましょう。新大阪のような大きな駅なら、近くに駅員さんがいますので分からなければ堂々と呼べばいいのです。今のうちに練習です。新幹線の切符購入は比較的簡単です。画面の目立つところにありますから。在来線特急も同様。クリアできれば9月26日の記事で紹介した「乗継割引」です。券売機によっては少しハードルが上がりますが自由席であっても乗車時間を指定するのがコツ。普通の旅なら、これでほぼ用は足ります。

エラそうなことを言う私ですが困ることもあります。昨夏、青春18きっぷで函館新幹線に乗れるオプション券が必要になりました。18きっぷは大阪駅の券売機で購入したのですが、その時、同時にオプション券が買えることを知りました。ただせっかくだからJR北海道で買ってあげようと、当該駅である奥津軽いまべつで購入することに。ただ東日本、東海、西日本の券売機は使い込んできましたが、北海道の券売機はあまり縁がなかった。結局買い方が分からず駅員さんのフォローを受けることに。こうやって覚えるしかありませんね。

さて最後にデメリットを挙げます。「複雑な経路の切符はどうやって買うのか」です。写真〈3〉は北陸新幹線延伸前夜。「北陸本線最後の旅プラス最初で最後の越後湯沢ダッシュ体感」というマニアックな旅をした時のもの。大阪から富山→直江津→越後湯沢→東京と乗ったのですが、切符はこうなります。

〈3〉北陸本線経由で東京を目指した乗車券
〈3〉北陸本線経由で東京を目指した乗車券

あちこち通ると印字できなくなり、最後は手書きになってしまうのですが、鉄道ファンは、この手書きが大好物(笑い)。この手の乗車券を買う時は事前に紙に経路を書いて発券してもらうのですが、これを券売機に入力しながら購入するのはちょっと怖い。券売機からつながるオペレーターの方から買えるのでしょうか? まぁ困るのはディープな鉄道ファンだけかもしれませんが…。