脂の乗った寒サバの数釣りを楽しもうと和歌山・御坊の乗合船「千代丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で10日、紀伊水道のラングイに出た。小雨が降る中、午前7時すぎから、サビキ仕掛けで狙うといきなり怒涛(どとう)の入れ掛かり。時合は短かったが、群れを追いかけて釣果を伸ばし、うねりが高くなった午前11時ごろに納竿。竿を絞り込む引きと連掛けを堪能した。竿頭は2~4連掛けを連発した和歌山の中井康徳さんで30~42センチを44匹だった。

 この時期のサバは、身が引き締まり、脂が乗っており絶品。魚好きにはたまらない獲物だ。午前7時すぎ、紀伊水道のラングイに入った。小雨が降るが、海は緩やか。右舷に入り、コマセカゴにアミエビをいっぱいに詰めてスタンバイ。

 船長の指示を待つと、すぐに細谷船長が、サバの大群を発見。魚群探知機にサバの群れがまっ赤に映っている。「水深60~70メートルで始めて」との掛け声で一斉にサビキ仕掛けを投入した。

 すると1投目からゴンゴンゴンと竿をたたくアタリ。一気に引き上げると丸々とした30~35センチが4連掛け。これはすぐにクーラーが満タンになるぞと仕掛けを打ち返す。同乗者も次々に竿が絞り込まれ、連掛けラッシュに船上は大忙し。

 寒サバ釣りは初挑戦という左舷の岸健一郎さん(尼崎市)も仕掛けを落とすなり、良型を3連掛け。「すごい、めちゃくちゃ釣れますね」と笑顔を見せる。記者の右隣の中井さんも、ポータブルの魚群探知機でサバの群れを的確にとらえ、2~4連掛けを連発だ。

 いつもならこのまま、まき餌を続ければ、船の下に群れがとどまり、クーラー満タンの早帰りとなるのだが、サバの群れは30分ほどすると去ってしまった。船長によると「水温が低く、サバの食いが続かない」とのことだ。こうなると手返しが大事。サバの群れをとらえる度に素早く仕掛けを打ち返して釣果を伸ばす。

 そんな中、「寒サバの刺し身が絶品で、毎年、釣りに来る」という頼元光昭さん(尼崎市)が、船の移動中に釣ったサバを次々にさばき、クーラーの海水氷でしっかりとしめていく。さすがベテランだ。手際がいい。

 しかし午前11時ごろになると、だんだんとうねりが高くなり、天候も悪化してきたのでやむなく早帰り。竿頭は連掛けラッシュをみせた中井さんで、30~42センチを44匹だった。荒食いの時間が短く、爆釣とまではいかなかったが、十分な釣果を得て納竿した。寒サバの左右に暴れ回る強い引きを堪能して沖を後にした。【中村和嗣】

 【今後の見通し】寒サバはこれからが本番。群れが大きいので水温が安定すれば活性が上がるだろう。また型も大きくなり35~45センチの3桁釣りが楽しめる。釣期は3月中旬ごろまで。

 【問い合わせ】千代丸【電話】0738・23・1621。乗合船料金は1万2000円(仕掛け、エサ、氷付き)。無料仮眠所あり。午前5時20分集合、人数がそろい次第出船。寒サバは日刊銀鱗倶楽部加盟店におまかせ。ほかにも、なぎ丸【電話】0737・62・3890、共栄丸【電話】0738・64・2318が出船中。

 【交通】湯浅御坊道路の御坊ICを出て右折。野口新橋を渡って左折。日高川沿いに河口へ向けて2キロほど走り天田橋北詰を右折。国道42号に入り、2つ目の信号を左折。道なりに500メートルほど進むと同乗合船の乗船場がある美浜新港。