静岡・興津川で20日、東日本の河川でトップを切るアユ釣りが解禁となった。日刊スポーツ共栄会「あこがれ亭」(柿澤健太郎代表=50)にはオトリアユを求めるファンが午前3時過ぎから訪れ、午後5時の解禁を待って川に入った。この日、上流の広瀬から下流の新幹線下まで、約600人(興津川漁協調べ)が訪れた。

「チームあこがれ」の岡部春美さん(62)は、「予報よりも気温が低い。アユの友釣りは水温16度以上がいいと言われているので、厳しいかもしれません」。昨年の解禁日、漁協前午前8時の水温は18.3度。今年は15.8度と2.5度下がった。岡部さんが勝負ポイントに選んだ「あこがれ亭」前は、さらに低めの15度だった。

「あこがれ亭」前下流のつり橋周辺で勝負。1匹目はすぐにかかったが、その後が続かない。太陽も1度は顔を出したが、その後はくもり状態で気温が上がらず、肌寒さを感じるほどだった。店前には10人ほどがサオを出していたが、その内の1人は「群れはいるけど、オトリを追ってこない。まだ縄張りを持っていないのかもしれない」と嘆いた。

岡部さんは厳しい条件下にもかかわらず、午前中の約3時間で8匹を確保。「今日はダメだね。みんな10センチほどで小さい。でも黄色できれいなヤツや、アゴの下に左右計8個の穴がある天然モノもいた」とし、「去年は大網地区の三等地だったけど、約2時間ほどで10匹は釣れた。そう考えると、今年のここは厳しかったとなるかな。でも明日も、明後日も来ます」と宣言した。

その大網地区は解禁を待ちわびたファンで満員状態。解禁時間と同時にサオを出した石井良秋さん(65)は、「最初は水温が低かったけど、太陽が上って水温が上昇するとともに活性が上がったのか、追いが良くなりました」。同地区では午前11時ころまでに30匹を釣り上げ、満足して帰ったファンもいた。

同漁協は4月1日からこの日までに、計6回で3450キロのアユを放流。さらに、6、7月にも放流が予定されている。

今年の興津川は場所によってバラツキは出てしまい、特に下流域には厳しい解禁日となった。岡部さんは「魚がいるのは確かです。でも、今日は水温が低かったので活性が低かっただけでしょう。水温が上がれば期待できますよ」と笑顔で話した。