国立国際医療研究センター「エイズ治療・研究開発センター」岡慎一センター長への特別インタビュー第3回。エイズ治療の今を聞いた。

 -予防法は

 岡氏 血液や精液に含まれるHIVが薬で減り、それらに出てこなくなると他人には感染しない。そのため、見つかった感染者は片っ端から治療すればいいという考え方だったが、うまくはいかなかった。なぜかというと、パートナーがほかにもいるから(1人じゃない)だ。決まったパートナー同士であれば問題はなかった。パートナーの中に感染していることを知らず治療を受けていない人がいると、感染が広がってしまう。

 -“予防にはコンドーム”ではないのか

 岡氏 “コンドームを使いましょう”というセーファーセックス教育を20年以上も行ってきたが、少なくとも患者は減らなかった。それが現実だ。自身が予防薬を飲めば感染することはない。

 -患者も意識改革が必要のようだ。予防薬の課題は

 岡氏 予防を目的とした使い方は、日本では保険適用にならない。現在、1錠が約4000円する。また、感染している状態でそれを飲むと、ウイルスが耐性化するおそれがあるので注意しなければならない。

 -どうする

 岡氏 ひと口に予防といっても単に薬を飲めばいいというわけではない。検査や他の性感染症などもパッケージとして対策を考える必要がある。それらをどうシステム化し、制度化するかだろう。

 -そもそも“男性同士”が感染しやすいのか

 岡氏 日本では女性の感染者が少ない。しかし、これはたまたまである。女性が多い国もある。いま主流となっているのは男性同性間の性行為なので10代、20代の若い世代がもっと検査を受けてほしい。異性間の行為しかしていない人も、年に1度は検査を受けた方がいい。(続く)