人間の体の臓器、前立腺、食道、胃、大腸、肺、子宮などの手術は、ロボット手術(ロボット支援下手術)が当たり前になっています。

そして、心臓ロボット手術も導入する病院が増え始めています。それは、ロボット手術にはメリットが多いからです。そのメリットを知ってもらうために、私が行っている心臓ロボット手術を紹介します。

まずは、1センチ程度のキーホール(鍵穴)を患者さんの右胸の脇寄りに4カ所開けます。そのキーホールからロボットアーム(鉗子=かんし)や内視鏡を挿入して手術を行います。

術者は、手術を受ける患者さんの近くにあるロボット操作機器に向かい、そこで操作をします。高解像度の3D画像を見ながらロボットアームを遠隔操作するのです。3D画像なので立体的で、実際に目で見ているのと同じ感覚です。さらに、拡大視野で捉えることができます。また、チームを組んでいる助手や麻酔医は、3D画像ではないものの、大きな画面で手術を見ているので、意見を聴いたりすることもできるのです。

3D画像のみならず、ロボットアームの先端の動きも人間の手ではできない動きができます。「アームの先端を360度回転できる」「人間の手と違って手振れがない」など、技術を習得した術者が操作すると、自由自在にロボットアームを動かし、正確な手術ができます。

ただし、今は4つのキーホールではなく3つだけのロボット手術を行っています。これは世界で私だけです。ほかの施設では、4つのキーホール以外に5センチの小切開を開けていますから、本当の完全内視鏡手術には、まだほど遠いでしょう。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)