日本の「ロボット手術(ロボット支援下手術)」は2018年に12疾患で保険適用になり、すでに保険適用になっていたものを加えると、14疾患に増えました。
このようにロボット手術が手術として広がりを見せてくると、やはり、心臓外科医としては、心臓ロボット手術を最初に行った医師が誰なのか、知りたくなります。1998年頃が最初になるのですが、何人かの医師がいるものの論文がないのです。ただ、最初に論文にしたのはモアという医師。モアの論文には、心臓ロボット手術を何年に行ったかについては書かれてありません。また、論文に「私が最初に心臓ロボット手術を行った」とも書かれてないのです。センセーショナルな発表はなかったのです。それは、ロボット手術に対して「非科学的な反応」が根強かったからです。
06年、私はロボット手術を定着させるために、東京医科大学病院の泌尿器科で行った前立腺がんの手術について、麻酔科医に論文を書いてもらい、学会誌に投稿してもらいました。すると、論文の査読者(投稿された論文の内容を査定する、その分野の専門家)からコメントが返ってきました。
「ロボットは戦争中か宇宙でしか使われない技術です。なぜ臨床に使う必要があるのか。必要があるなら理由を教えてください」
そして、論文は却下されました。医療ロボットの有用性がまったく理解されていなかったのです。06年当時の日本で、この状態でした。00年ころの欧米諸国もこのような状況だったのでしょう。それが、ついにロボット手術が花開く時代を迎えたのです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

