歩みだしている心臓ロボット手術(心臓ロボット支援下手術=ダヴィンチ)。なぜ僧帽弁形成術が保険適用なのか--。患者さんの中には疑問に思っている方もいらっしゃいます。それには2つの理由がある、と私は思っています。第1は、前回紹介したように、「僧帽弁形成術は弁置換術と比べると手術数が多いのに加え、極めて安全な手術だから」です。そして、第2が「僧帽弁の手術は心臓ロボット手術に向いているから」です。今回は第2の理由を説明します。

僧帽弁は左心房と左心室の間にあります。三尖(さんせん)弁は右心房と右心室の間にあります。これは一緒に手術を行うケースが多くあります。そのほかに、大動脈弁と僧帽弁の手術を一緒に行うのはどうなのか--。

開胸手術を行った場合、大動脈弁はすぐに見ることができます。ところが、僧帽弁が見えにくいのです。グーと引っ張り出さないと僧帽弁は見えません。正面から行う開胸手術は僧帽弁に対しては視野の悪い手術なのです。

ところが、横から見ると僧帽弁は真正面から見える形になります。私たちが行っている心臓ロボット手術は右胸の脇側に1センチ程度のキーホールを3つ開け、内視鏡のほかに、メスや鉗子(かんし)を装着したロボットアームを挿入し、遠隔操作で行います。僧帽弁の手術だけを行うならロボット手術は横からアタックするので視界は良好。つまり、「僧帽弁の手術は心臓ロボット手術が向いているから」です。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)