心臓弁膜症の手術で多いのが「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」と「僧帽弁閉鎖不全症」。この2つの疾患での手術が97%を占めています。まさに2大疾患です。この中の大動脈弁狭窄症での手術は4つ行われていますが、とりわけ、カテーテルを使った内科治療の「TAVI(経カテーテル的大動脈生体弁植え込み術)」が“身体に優しい”と人気に。今は、治療数は手術とTAVIで50対50といった状況になっています。
ただし、TAVIにもメリットとデメリットがあります。
まず、最大のデメリットは「TAVIは寿命が短い」。TAVIで挿入した弁は、6年ほどで確実にダメになると報告されています。だから、安易に飛びつくものではありません。だから、TAVIの適応になる患者さんを、もっときちっと選択して治療すべきなのです。きちっと選択すると患者さんにはメリットになります。
TAVIが適応になる患者さんは、基本、手術不能な患者さんです。それは<1>85歳を超えている<2>寿命は、あと5年は持たない<3>高齢で再手術の人<4>麻酔がかけられない<5>手術ができないほど心機能が悪いなど。実際、これまでは手術不能例でした。そういう患者さんが手術を受けて突然死しないように予防できたり、症状が消えたりするのを見ると、TAVIはそういった患者さんにはいい治療だと思います。
内科医からは「70代の若い患者さんにもTAVIを行おう」という意見が出てきています。が、私は間違っていると思います。適応はしっかり守るべき。死ななくていいときに亡くなってしまうケースが増えてしまうのは、あってはならないことです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

