初診時に歯ぐきの状態が思わしくない、すなわち歯周病の可能性が高い患者さんに対しては、まず初めに自宅でのセルフケア方法について尋ねることにしています。「一日に何度も洗口液でうがいをしています」「長年電動歯ブラシを使っています」等、口の健康意識が決して低いわけではないのに、自分の判断で良いと感じたアイテムを「ひとつだけ」使っているという方が結構いらっしゃいます。

歯周病は「沈黙の病」と称される疾患ですから、自己流のケアで状態が悪化していても気づきにくい点が怖いところです。食後に液体でしっかり口をゆすげば、食べかすをある程度取り除くことは可能です。口周りの筋肉を鍛える運動にもなるため、ブクブクうがいは健康な口元つくりに欠かせない習慣です。しかしながら患者さんに多いのが、歯を磨かなくとも、洗口液でゆすぐだけでバイオフィルム(歯垢=しこう)が落とせる、悪さをする細菌がいなくなるという大誤解です。

長時間歯を磨かないでいると、歯の表面がざらざらしてくる感触がわかると思います。こうしたぬめり汚れは、歯の周りに存在する細菌が食べかすを栄養源に増えた塊なので、機械的に擦って落とす以外には取れません。歯と歯の隙間に汚れがびっしり詰まっていれば、洗口液に表示されている薬用成分も跳ね返されてしまいます。

つまり、こそげ落とす工程を怠っている場合はどんなに高機能な洗口液を使っても資源の無駄遣い。電動歯ブラシも同様で、当て方が間違っていれば無用の長物といえます。<1>歯間ケアをする<2>歯ブラシをかける<3>洗口液を使う、この順序をたたき込んでください。時間が取れない朝昼は<1>あるいは<2>だけでも構いませんが、夜は<1>~<3>がマストです。