「歯を白くしたい」という患者さんの中には、生まれつきの歯の色がグレー、茶色といった変色を起こしていたり、横じま模様を呈している方もいます。これは、幼少期に服用した抗生物質(テトラサイクリン系)の影響によって歯の色が変わってしまう現象で、薬の名前から「テトラサイクリン歯」と総称されます。

子どもが風邪をひいた際に処方するシロップにこの抗生物質が含まれていたことから、かつて日本ではかなり多くのテトラサイクリン歯が見られました。永久歯が作られ始める0~6歳の時期にこの抗生物質を服用すると、骨や歯の象牙質に着色を起こすことが知られるようになり、現在は妊婦や子どもへの使用を控えるのが一般的です。0歳から3歳までの服用では前歯の先端から真ん中にかけて、3歳から6歳頃であれば真ん中から根元といった具合に、飲んだ時期によって変色の位置が変わります。

テトラサイクリン歯は紫外線を浴びることにより出現する傾向があるため、生えたばかりの永久歯ではほぼわからず、成長ともに色が濃くなっていきます。見た目が気になる前歯に、より変色が目立つのは、光が当たりやすいからです。

テトラサイクリン歯は変色のレベルに応じて4種類に分類されます。比較的軽度なもの(黄味が強い変色)は医療ホワイトニングでの改善が見込めます。自宅で行うホームホワイトニングを継続することによって目立たなくすることが可能ですが、根気が要ります。また、診断する歯科医師側の知識や技術にも左右されます。変色の程度が強い場合は歯を削ってかぶせる方法になりますが、ビフォーアフターの変化がわかりやすく、患者さん自身が非常に喜ばれるケースが多いです。