早期大腸がんが直径2センチを超えているときは、身体を切ることのない内視鏡治療の「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」が行われます。
ESDは、がんのある粘膜を粘膜下層ごと固有筋層からはがし取る治療です。さまざまな治療器具の開発で、治療は安全で早く終わるようになりました。ただ、腸の壁は4ミリしかありません。その壁の2ミリくらいをはがし取るので、残っている壁は2ミリ程度。そこでリスクとして挙がってくるのが、腸壁に穴が開く“穿孔(せんこう)”です。
穴が開いた場合、数年前であれば“緊急外科手術”が必要になることもありました。それが今は、内視鏡の技術の進歩により、小さな穴であればホチキスのような器具を使って内視鏡治療で閉じることができます。それによって、緊急手術にならないケースが増えてきました。その点でもESDは安全な治療になりました。ただ、穴が開いたところを内視鏡で閉じても、おなかが痛くなって入院し、1、2週間絶食にされたりすることがあります。
そのリスクを回避するためには、大腸内視鏡治療での穿孔率を知っておくのも大事です。日本の優秀な病院の穿孔率は約2~3%です。ちなみに、私はこれまでに4000例以上ESDを行っていますが、穿孔率は0・05%以下です。穿孔率は、受診したときにしっかり医師に聞いてみましょう。
ESDの治療が穿孔の問題なく終了した場合、翌日は食事を抜きます。水とかジュースなどはOKです。これは、おなかが痛くなるようなことがないかをチェックするのです。問題がなければ、2日後からおかゆを食べることができます。後日、退院になります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

