大腸がんに結び付きやすい疾患は、「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などの「炎症性腸疾患」、「良性ポリープ(腺腫)」のあった人などについて、前回紹介しました。そのほかにも大腸がんに結び付きやすい疾患はあります。それは、遺伝性の疾患です。

大腸がんのリスクを高める遺伝性の疾患には、「家族性大腸腺腫症」と「リンチ症候群」があります。家族性大腸腺腫症は、大腸に良性ポリープの腺腫が何十個も何百個もできる疾患です。これは大腸がんを発症するので、腺腫があまりに多いケースでは予防として大腸全体を切除することもあります。家族に良性ポリープがたくさんできた人がいる、と聞いた場合は遺伝子検査も考えるべきでしょう。

もう一つの遺伝性疾患のリンチ症候群は、血縁者の中に大腸がんに限らず、子宮体がん、腎盂(じんう)がん、尿管がん、小腸がんを罹患(りかん)した人が3人以上いる、という人です。そして、50歳未満で大腸がんを発症した人がいると、遺伝子異常があると考えられるので遺伝子検査を受けることになります。その検査を受ける場合、精神的ケアもしっかり行われている専門の病院で受けるべきです。

しかし、それに気付いたら遺伝子異常の有無以上に、まずは大腸内視鏡検査を受けて大腸がんの有無を調べることが最も重要です。大腸内視鏡は検査と治療を兼ねていますから、これをきちっと受けていれば、基本的に内視鏡で治ります。

大腸がんを早期に見つければ、命を落とすことは基本的にはありません。そのためにも、40歳を超えたら大腸内視鏡検査を受けましょう。それで良性ポリープ(腺腫)や大腸がんがなければ、その後は、3年ごとに大腸内視鏡検査を受けると、最高の大腸がん予防に-。将来は大腸がんで亡くなる人をゼロにできるはずです。(おわり)

(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)