最終回は、「食道がん」の患者さんには「咽頭・喉頭がん」の同時性・異時性発がんリスクのあることを、知って欲しいと思います。
食道がんは「扁平(へんぺい)上皮がん」が90%を占め、飲酒が大きな発がんリスクです。食道の近くの咽頭・喉頭も壁の表面は扁平上皮で覆われているので、食道と同じく飲酒はそこでも発がんリスクです。だから、食道がんの患者さんが紹介で受診されると、私たちは再度しっかり検査をします。食道がんと同時に、咽頭がんがあったり喉頭がんがあったり、ということがあるからです。
また、食道がんの手術をした後に、食道上部と胃をつなぐために食道を少し残しています。再度、そこに食道がんが発症することがあります。残った食道に再度がんができる人は、食道がんの手術後に飲酒をやめていない人です。それだけではなく、手術後にまたお酒を飲み始めると、4、5年後に咽頭がん、喉頭がんが見つかったりするケースが多いのです。これは、食道がんと同様に咽頭・喉頭の扁平上皮が、アルコールの刺激でがんを発症しやすくなっているからです。
この場合、食道がんの術後は禁酒すべきなのか-。この点については、日本食道学会でも「禁酒」とは示していません。少しの飲酒はOKという感じ。これは単純に禁酒すべき研究論文が出ていないからです。
それでは、食道がんの術後に咽頭がん、喉頭がん、残った食道にがんができるのを早期に発見するにはどうすると良いのか-。咽頭、喉頭を内視鏡で検査してもらうときは耳鼻咽喉科になります。が、最も薦められるのは「食道がんの手術をした主治医と話し合ってチェックしてもらう」ことです。これはしっかり実践してください。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)(おわり)

