貧乏だった。貧乏から脱出したかったから、世界中にどこでもいける人間になりたかった。医学部に行けば世界へ行けると思った。

医学部に落ちたら、すし屋になると決めていた。10年ほど我慢して下積みをし、お金をためて小さな店を自分で出す。大学に行かず12年苦労して、30歳で小さな店を構え、35歳で名店にする。40歳で世界に飛び出し、きっと世界チェーンを展開したと思う。

【図書館の本がぼくをつくった】

大学へ行っても行かなくても、どうしたら自分の人生を面白くできるかを考えた。ぼくの家は貧乏で、小学校の夏休みも、どこにも連れて行ってもらえなかった。学校の図書館の本を片っ端から読んだ。

高いお金を払ってでも、客がたくさん来るおすし屋さんやラーメン屋さんには、その人だけの言葉がある。優れた経営者も、芸術家も、政治家も、探検家も、科学者も、みんな自分の言葉を持っている。

【新聞や本が大事】

勉強は嫌いでもいい。本を読んだ方がいい。言葉がなくなると、自己の形成が難しくなってしまう。新聞も大事だ。言葉が大きな役割を担っていることを知っていてほしい。

水が半分しか入ってないコップを見て、半分しかないのかと思う人もいれば、まだ半分あると思う人もいる。言葉は感情や想像力を作り出し、人それぞれの行動を引き起こす力となっているんだと、「17歳のきみへ」(集英社)に書いた。