「男性更年期障害(LOH症候群)」は男性ホルモンの低下によって心身に不調が起こる病気です。原因となる男性ホルモンはいくつかあるものの、メインは「テストステロン」で、「男性が男性らしく生きるためのホルモン」です。その作用は前回紹介しました。今回は、それ以外のテストステロンの「身体機能」への作用に注目します。

テストステロンの身体機能への働きは<1>「筋肉量・筋力の増強」、<2>「骨密度・骨質の増強」、<3>「動脈硬化を予防する」、<4>「造血作用」などです。

健康な身体には強靱(きょうじん)な筋肉・筋力が必要で、まずテストステロンには全身の「筋肉量・筋力の増強作用」が注目されています。加えて、骨を硬く丈夫にする「骨形成促進作用」もあります。前立腺がんの治療には「ホルモン療法」が行われています。これは、前立腺がんの治療で、テストステロンを抑える薬が使われます。がんを制御することはできますが、骨粗しょう症が進行して骨折リスクがアップします。それは、テストステロンの骨を強くする作用が抑えられるからです。

また、テストステロンには血管を滑らかにする作用があり、動脈硬化の予防になります。血管が滑らかであれば、動脈硬化は進んでいない健康な血管です。それをバックアップするかのように、悪玉コレステロールと中性脂肪を低下させる、という報告も出てきています。さらに、骨髄で赤血球を作る作用を促します。赤血球は身体の隅々に酸素を運ぶので、持久力がアップするのです。

このように、テストステロンの身体機能への作用は多岐にわたり、健康な身体作りには不可欠です。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

◆土井直人(どい・なおと) 市ヶ谷ひもろぎクリニック院長。1987年(昭62)、群馬大学医学部卒業。日本泌尿器科学会専門医。日本腎臓病学会。メンズヘルス医学会。泌尿器科一般領域の診療活動。特に心療内科と連携して男性更年期治療に従事。