国内で年間6万3000人以上の命を奪う誤嚥(ごえん)性肺炎は、気道に異物が誤って侵入し、肺に到達して炎症を起こす。

「嚥下(えんげ)の『嚥』は、ツバメの子が親からエサをもらうときに大きな口を開けることが漢字の由来といわれています。口を開けて食べて飲み込む。この嚥下機能が落ちていると、気道に異物が侵入する誤嚥性肺炎につながります」と、公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸ケアリハビリセンター副センター長の菅原玲子医師は解説する。

誤嚥にはのどや肺の機能の低下が関わるという。気道は空気の通り道で、口から食べ物が入ってくるとふたの役割の喉頭蓋(こうとうがい)が閉じて食道が開き、食べ物が胃へと送られる仕組みがある。喉頭蓋が閉じていると気道への空気も入らず、飲み込む力が弱くて食道への通過時間が長いと、呼吸が止まった状態が続くことになる。

「そもそも肺機能が低下していると呼吸回数が増えます。嚥下で喉頭蓋がふさがっている状態に耐えられず、のどを食べ物が通過中に息を吸うことで喉頭蓋が開き、誤嚥することがあるのです」(菅原医師/以下同)

誤って気道に入った食べ物は、せきと一緒に排出できればよいのだが、肺の機能が落ちていると排出力も弱い。結果として誤嚥性肺炎を招くことになる。

「ビールをゴクゴク飲んだ直後に、プッハーと息を吐きますね。ビールを飲んでいるときに喉頭蓋が閉じ、飲み終わって喉頭蓋が開いたときに息を吐いた状態です。これは嚥下も肺も健康なサインとなります」

プッハーができない人は肺機能低下の疑いがあるので注意しよう。