近年、患者が右肩上がりに増加している肺の病気・肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)は、非結核性抗酸菌(NTM)に感染することで発症する。せきや痰(たん)、全身倦怠(けんたい)感などの症状が続き、肺の組織が壊れて穴が開く空洞化や、気管支が炎症で異常に広がる気管支拡張などを伴い、肺炎を繰り返す人もいる。
「肺NTM症は、中高年でやせ形の女性の発症率が高くなっています。女性ホルモンや自己免疫疾患(リウマチなど)などが発症に関わると考えられますが、まだはっきりしたことはわかっていません」と、肺NTM症の臨床研究を行う公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸器センター治験管理室長、臨床医学研究科長の森本耕三医師が解説する。
中高年女性でBMI(体格指数=体重キロ÷身長メートルの2乗)が「18・5以下」の範囲の人では肺NTM症のリスクが高いという。中高年女性で身長155センチならば体重44キロ以下の人はリスクが高いことになる。喫煙歴や肺の病気がなくても発症するので注意が必要だ。
「男性でも、喫煙を原因とした慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)を発症している人や、肺結核後の後遺症を持つ方、微粒子などを長期間吸引したじん肺の方などは、肺NTM症のリスクは高くなります」(森本医師)
さらに、ステロイドなど免疫を抑える薬を服用している人、病気で免疫が低下しているなどもリスクになる。加えて、「肺炎を起こした後に肺に傷が残っていると、高齢になってからNTM症の発症リスクが上がると考えられます。肺炎予防にも努めていただきたいと思います」と森本医師は話す。

