人間ドックや健康診断の呼吸器機能検査では、息を吸ったり吐いたりして測定するスパイロメトリーという検査が行われている。普通に吸って吐く息の量や、目いっぱい吸って吐く努力性肺活量などを調べる。

「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)では、息を吐き切れなくなり肺に空気がたまります。この『空気の捉え込み現象』をエアートラッピングといいます。スパイロメトリーでは、エア-トラッピング指数(5%未満が正常)も測定できます」とは、公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸不全管理センター長の木村弘医師(日本医科大学客員教授)。長年、COPDなどの診断・治療・研究を行う。

「COPDは、体を動かして呼吸が速くなったときに、肺に空気がどんどんたまって肺が膨らむ『動的肺過膨張』も特徴です」(木村医師)

吸った空気に対して吐く息の量が少ないと肺に空気がたまる。新たに空気を吸おうとしても十分な量を得にくくなる。たとえば、小走りしたときには呼吸の回数が増える。しかし、COPDでは、空気を吐き切る前に次の呼気で空気を吸わなくてはならず、肺が空気でどんどん膨らみ息を吸えなくなる。これを動的肺過膨張という。

「動的肺過膨張の息切れは、気管支を広げる気管支拡張薬で軽減が可能です。通常は、抗コリン薬やβ刺激薬を用いた吸入療法を行います。また、COPDの最大原因は喫煙ですが、低出生体重で小児期の肺の発育障害の人も、中高年でのCOPDのリスクが高くなると世界的に指摘されています。せきや痰(たん)、息切れなど、呼吸器の異常は放置しないようにしましょう」と木村医師は話す。