発作性心房細動は肺静脈細動と言えます。多くの臨床研究で発生源の約7割は肺静脈であると報告されているからです。心房細動に対する必要最低限のカテーテルアブレーションは肺静脈隔離術です。肺静脈の根元にある筋鞘(きんしょう)部分の電気をショートしないように焼く、いわゆる「焼灼(しょうしゃく)」して心房細動の発生を防ぎます。

一方で肺静脈由来の発作性心房細動は約7割に過ぎず、100%ではありません。ネットを開くと「心房細動はカテーテルアブレーション」「パルスフィールドアブレーションで治します」などと万能のように宣伝し、あおっている医療機関もあります。これではダメですね。アブレーション治療の光と影についての詳細はのちの連載で触れたいと思います。

話を戻します。心房細動の起こり始めは心房筋、肺静脈筋鞘の傷や心房へ入る自律神経の変調に関係する電気スパークです。一発のスパークは心臓をドクンとさせる心房の期外収縮を起こすだけですが、スパークが漏電のようにバチバチと続くと心房細動になっていきます。心房細動が起こるごとに心房筋の傷となり残っていくのです。

北海道では昔、寒い冬に車のエンジンをかけるのも一発でかからず苦労しました。何度かキーを回してようやくかかります。エンジンをあらかじめ温めておくと簡単にエンジンがかかりエンストしなくなります。心房細動も同じです。発作性は時間がたてば停止しますが、何度も繰り返されるとエンジンのように“心臓が温まって”、ほんの軽い電気スパークで止まらなくなるのです。心房細動は進行する病気なのです。