「肺がん」の薬物療法で使われているのは、主に「抗がん剤」「分子標的薬」「血管新生阻害薬」「免疫チェックポイント阻害薬」。最も新しい薬は、免疫チェックポイント阻害薬です。

人間の身体には免疫システムが働いており、外敵が侵入するとそれをたたいて身体を守ります。免疫反応が適切に制御されないと、免疫応答が過剰になり、正常な組織を傷つけます。T細胞(免疫細胞)の表面に存在する免疫抑制分子の1つPD-1は、T細胞の活動を抑制します。PD-1は、この過剰な免疫応答を防ぎ、免疫系のバランスを保ちます。このPD-1に結合する分子(リガンド)にPD-L1があります。

PD-L1は主にがん細胞や免疫抑制を必要とする組織の正常な細胞に発現しています。PD-L1がT細胞上のPD-1と結合すると、免疫反応を適度に抑制して自己免疫反応を防ぎます。がん細胞の表面のPD-L1が結合すると免疫のブレーキが強く働き、がん細胞への攻撃は弱くなります。

免疫チェックポイント阻害薬は、PD-1/PD-L1経路のブレーキを外して免疫力を回復させるのです。現在は、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)など6薬が保険適用です。

がん細胞のPD-L1の発現率、細胞膜にPD-L1による陽性反応が認められる腫瘍(しゅよう)細胞の割合が50%以上になっていると単剤でも効果があります。

使用法は、2~4週間ごとに点滴投与で、外来での通院。ただ、血液データ、副作用のチェックが必要で、通院は1週間に1回です。薬物療法では副作用はつきもので、「皮膚炎などの皮膚症状」「肝機能異常」はよくありますが、一番心配なのは「間質性肺炎」。生命に関わるので、X線/CT検査はしっかり行い早期発見に努めています。1型糖尿病や甲状腺機能低下などの副作用もあります。副作用は治療開始直後に現れるものから、数カ月後に発症するものまでさまざまです。投与中は自身の健康状態に注意し、何か気になったら、すぐ主治医に相談することが大切です。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)