家族から「いびきが大きい」と言われたことはありませんか。いびきの背景には、睡眠中に上気道が繰り返し狭くなる「閉塞(へいそく)性睡眠時無呼吸」が隠れている場合があります。実は近年、この睡眠の病気と歯周病の関連にも関心が集まっています。
2026年に発表された「アンブレラレビュー」では、7つのメタ解析、延べ22万人以上のデータを検討しました。アンブレラレビューとは、複数の研究を統合した解析結果を、さらにまとめて評価する研究手法です。その結果、睡眠時無呼吸が認められる人では、ない人に比べて歯周炎を伴う割合が高く、統合したオッズ比は約1・96でした。
数字だけ見ると驚きますが、これは「睡眠時無呼吸が歯周病を約2倍引き起こす」と証明した数字ではありません。対象研究の重複や結果のばらつきもあり、エビデンスの確実性は低いと考えられています。考えられる仕組みの一つが、睡眠中の低酸素状態と全身の炎症です。また、口呼吸による乾燥が口腔(こうくう)環境に影響する可能性もあります。両者には肥満や喫煙、年齢といった共通の関連要因があり、どの経路がどれほど重要かはまだ分かっていません。
意外かもしれませんが、歯科医療は古くから睡眠に携わっています。睡眠時無呼吸の治療では、適応のある患者さんに対して下あごを前方に保持する口腔内装置(スリープスプリント)を作製する役割も担います。医科での診断と紹介状があれば、保険適用も可能です。疲れが取れない理由を年齢のせいと決めつけず、睡眠中の呼吸停止や日中の強い眠気がある場合は早めに医療機関へ相談を。
「口は食べるだけ、鼻は息をするだけ」と単純に分けてしまいがちですが、人体は実に複雑です。歯科と睡眠医学がつながるところに、新しい健康の見方があります。今後は、長く同じ人を追跡する研究も必要とされています。

