2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックが迫る-。東京五輪開会式まで24日であと2年、大会組織委員会の森喜朗会長(81)が、日刊スポーツ新聞社のインタビューに答えた。平和の大切さ、開会式の仕掛け、新しい競技への期待、熱い思いを明かした。13年9月に東京開催が決まり、14年1月に発足した組織委員会。準備期間の7割が終わって、いよいよ大会の全貌が見えてきた。【聞き手=三須一紀、荻島弘一】

 -東京大会は新たな五輪の形になります。新しい競技、種目も増えました

 アーバンスポーツ(スケートボード、スポーツクライミングなど)は人気がある。もう協会に所属して日本選手権に出て、という時代じゃない。選手は自分で練習し、自分で海外にも行く。そういうスポーツが、これから増えてくる。

 -広島の(アーバンスポーツの祭典)FISE視察では、多くの子どもたちに声をかけていましたね

 うれしそうにしている子もいれば、壁が登れずに泣いている子もいる。「パリ(五輪=2024年)は無理でも、ロス(五輪=2028年)に間に合うよう頑張れ」と声をかけた。子どもたちが「頑張ろう」と思ってくれるだけでいい。そういうスポーツの原点を、大事にしていきたい。

 -一方で実施競技、種目は増え続けています

 広がる話ばかり。いずれ五輪の引き受け手がいなくなる。冬季大会などそうなりつつある。今は(IOCに)言われるまま従っているが、終わった後に反省を尽くさないといけない。今後は競技の入れ替えも必要になる。人気がないスポーツは減らしていかないと。国によって、やりたくない競技、できない競技もあるだろうし。もっと多くの人が参加できるような大会に変えていくことが、これからの五輪で大事になる。

 -1964年から56年後に迎える東京大会。2020年の56年後の2076年には、どんな社会になっていると思われますか

 科学技術と自然の調合。そんな時代かな。我々はもうダメ。パソコンが使えないもの。ただ、人間がロボット社会の一員みたいになっていいのかという思いはある。病院でも、医者がこちらを向かない。話を聞いているのか、と思う。問診といって顔を見て話をするからこそ、お医者さんと情が通うんだろうけど。

 -五輪でeスポーツを採用する話もあります

 う~ん、あまり賛成はできないな。ちょっと違うかなという感じはする。対戦相手と心が通い合うことが大事で、それがスポーツ。全力で試合をし、終われば肩をたたき合って健闘をたたえ合う。それがなければ機械でも走らせておけばいいということになる。

 -心が通い合ってこそのスポーツですね

 それが1番。人間の葛藤や苦しみ、仲間意識、それをどう教育していくか。スポーツは、そういう精神を養うのに役立つ。だから、スポーツは大事。「ワンフォーオール、オールフォーワン」。そんな東京大会ができたらいいと思う。

 ◆森喜朗(もり・よしろう)1937年(昭12)7月14日、石川県生まれ。高校までラグビー選手。早大卒。産経新聞社、議員秘書を経て69年の衆院選で初当選。83年に中曽根内閣時に文部相として初入閣。死去した小渕元首相の後継として、00~01年に首相。首相時に沖縄サミットを実施した。衆院議員を14期務め、12年に国会議員から引退。日本体育協会(現日本スポーツ協会)会長、日本ラグビー協会会長などを歴任。13年9月の東京五輪・パラリンピック開催決定を受け、14年に大会組織委員会会長に就任した。