中央競馬の調教師をしています。茨城県の美浦トレーニングセンターに厩舎があり、馬主から預託された競走馬(サラブレッド)を管理しています。昨年はオジュウチョウサンが有馬記念に出走しました。競馬には平地競走と障害競走がありますが、4月の中山グランドジャンプで障害競走のG15連覇を果たした後、有馬記念を目標に平地競走に挑みました。多くの方に応援していただき、ファン投票で選ばれ、出走がかないました。

私自身、五輪との直接的な縁はありませんが、通っていた千葉県の成田高校は非常にスポーツの盛んな学校で、同じ学年に室伏広治さんがいました。陸上競技で活躍されていて、当時から有名でしたし、遠目に見て、「大きい人だなあ。背が高いなあ」というのはいつも思っていました。アテネ五輪では金メダルを獲得されました。ハンマー投げは世界レベルで日本人が活躍するのはなかなか難しい分野だと思うのですが、感動しましたね。

競走馬やジョッキーにはアスリートの面もあります。走る姿勢、騎乗フォームを少しでもいいものにしようと努力しています。調教師の大事な仕事には馬の個性を見抜くことがあります。障害物をジャンプして越える障害競走が向いている馬もいれば、向いていない馬もいます。平地競走では芝の上で走るレースとダート(砂)の上で走るレースがあります。それぞれの競走馬には向き不向きがあり、的確なレース選択をしていかなければなりません。

もしかしたら、人間のスポーツの競技も同じことが言えるかもしれません。誰もが持って生まれた体の構造がありますし、筋肉の質の違いがあります。「自分はこの競技で頑張りたい」と思っても実は別の競技の方が合っているということもあるのではないでしょうか。

競技の結果を見て、たくさんの刺激をもらっています。今、多くの日本人選手が世界レベルで活躍しています。欧州勢が強い馬術も結果を出しているし、100メートル走なども世界レベルの選手が現れていますよね。競馬も国際的なスポーツです。いずれは自分も海外のレースに行けるようならと考えていますし、東京五輪を応援して、また新たな刺激をもらえたらいいなと思っています。

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