20年東京五輪への「本当の戦い」が始まります。リオ五輪の時は若さと勢いだけで、本当の実力ではありませんでした。そのため、1年3カ月後の本番までには、絶対的な地力と技術を身に付けて自分の柔道を完成させたいです。

子供の頃、五輪はテレビで見るものだったので、正直、今の状況が不思議です。小学生の頃、04年アテネ五輪で鈴木桂治先生が金メダルを獲得して「日本強いな」ぐらいの記憶しかありません。体も小さく、弱かったので、五輪を本気で見ていませんでした。15年後の今は、代表の重量級コーチと選手の関係ですからね。人生、分かりません。

リオ五輪後は「追われる立場」となり、心と体がアンバランスになりました。オーバートレーニング症候群の発症や所属を退職してフリーになるなど全てが挑戦でした。結果を残せず、背水の陣で臨んだ昨年の世界選手権も3位でした。その後、山口県の先輩の大野将平さんから天理大での稽古に誘われて、原点回帰出来ました。天理の柔道は2本しっかり組んで、前に出て技を掛ける。この正統派スタイルが自分にも合っていて、本当の強さにつながると分かりました。組み手技術や技の威力を発揮するための方法などを学び、大野さんには大外刈りの理論について聞きましたが、まね出来ないです…。異次元でした。その後も月1回ペースで天理大に行って、感覚を取り戻しています。過去は振り返らずに、開き直って前だけを見ています。

世界選手権(8月25日開幕、日本武道館)代表の選考会を兼ねた4月の選抜体重別選手権は優勝しましたが、全日本選手権は準々決勝で敗退しました。対日本人の難しさと未完成な柔道を痛感しました。それでも代表に選出してもらったので、対外国人に切り替えます。井上(康生)監督からは「柔道界の白鵬になれ」と言われます。元々、小柄だったせいか、小食で「いきなり!ステーキ」では400グラムぐらいしか食べられません。そこも改善して心技体を鍛えたいです。集大成の東京五輪では頂点に立って「子どもたちに柔道をやってみたい」と夢を与えたいです。

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