【パリ=木下淳】女子57キロ級の金銀銅メダルを“日本”が総なめにした。

長野・塩尻市出身でカナダの出口クリスタ(28=日本生命)が金、東京・江戸川区生まれで韓国の許海実(21=早大4年)が銀、山梨・富士吉田市から日本代表として五輪に初出場した舟久保遥香(25=三井住友海上)が銅メダルを手にした。

出口と許は、ともに母親が日本人。出口は長野・松商学園高-山梨学院大で、東京五輪を目指して17年に父のカナダ国籍を選んだ。日本では池田姓の許は、母親が在日4世の日本人で、帝京高-早大。独立運動家の子孫でもある。韓国から五輪を望んだ祖母の遺言もあり、ホ・ミミとして23年に韓国籍を選択した。舟久保は富士学苑高から三井住友海上へ進んだ。

決勝は出口が反則勝ち。延長2分35秒、許に3度目の指導が入った。2人は今年5月の世界選手権決勝でも対戦し、許が勝っていたが、リベンジした。

出口は現在も日本を拠点に練習している。許も同じだったが、五輪までの期間は韓国の代表合宿で鍛錬を積んできた。公式会見でも“日本”の3人が金銀銅のメダルをそろえたことに関する質問が出た。

バラエティー番組への出演などで知名度の高い出口は「日本にゆかりがある3人。あらためて日本のレベルの高さを表しているかなと。今は、ミミさんもそうですけどハーフの選手が増えている中、もう1つの母国の国籍を選択する道は増えていますし、体現できているのではないのかなと思います。誇りに思います」と笑顔を見せた。

許は「私は、テレビで見ていたような、尊敬する選手たちと、五輪という大きな舞台に立てて幸せです」。舟久保は「普段、日本で練習している選手たちと五輪で戦えて、表彰台に上ることができて、良かったかなと思います」と語った。

出口は大きな決断の後、東京五輪のカナダ代表争いで独走していたものの、最終局面で選考方法が変わって涙をのんだ。ジェシカ・クリムカイトとの世界女王同士の争いに敗れ、母国での大舞台に立つことができなかった。

「17年からカナダで五輪を目指して頑張ってきてたので、東京五輪を逃した後は、やめるか迷いました。それでも今回、何とか(同じくクリムカイトとの)代表選考を勝ち抜いて、金メダルを手にすることができて、うれしく思います」と万感の表情。念願のメダルについて「物質的にも重いですし、いろんな重圧とかを考えたら、心に来る重さも感じています」と美しい言葉を残した。

もう1つの銅メダルは、準々決勝で舟久保に開始9秒で勝って、準決勝で出口に屈した開催国フランスのシシケが獲得した。【木下淳】