競輪、楽しんでいますか?

30日に終了した川崎F1はS級が嘉永泰斗、A級が谷内(やち)健太の優勝で幕を閉じた。両選手ともに完全V! 素晴らしい。

今シリーズは、松戸、西武園と続いた8月後半G3の“裏開催”ではあったが、前場所が函館G1オールスターだった選手が多く、なかなかのハイレベルだった。

その中で嘉永は初日特選は番手飛び付きからの差し、準決は打鐘4角カマシ、そして決勝は何と、3番手確保からの直線中割り強襲だった。嘉永の好位中割りVという記憶など、ロートル記者の衰えた脳の中には残っていない。オールスターの疲労が残って本調子とはいえなかったが、「(来年3月防府G2)ウィナーズCの権利のために、ここで優勝したい」という気迫が見事に結実した。

Gレースが主戦場のトップ選手にとって、選考期間内の1着数やF1優勝が物を言うウィナーズCは出場権を取るのが意外と難しい。いかに実力があってもGレースで1着量産はそう簡単ではない。数少ないF1でしっかり結果を出した27歳に拍手だ。


完全Vを決めた嘉永泰斗
完全Vを決めた嘉永泰斗

一方、嘉永と人気を分けた地元の松井宏佑は3着に惜敗した。

オールスター前に追い込んだ練習をし過ぎたことで、本番は「疲れがあって駄目だった」。その反省から、ここに向けては「楽しむ感じで疲労を取りながら練習して」きたが、結果は無念。だが、打鐘3角から2車で先行した内容は全く悲観するものではなく、今シリーズから導入した新車もまだまだセッティング調整の余地が大いにある。秋の反撃に向け、今後は上積みしかない。頑張れ!


秋以降に悔しさをぶつける松井宏佑
秋以降に悔しさをぶつける松井宏佑

そして、もう1人のシリーズの主役だったのが125期の新鋭・谷内だ。6連勝でここに臨み、予選は打鐘先行、準決は打鐘4角カマシ、そして決勝は2角まくりと、圧倒的なパワーとスピードで通算9連勝。念願のS級特昇を決めた。

ここまで2度、特昇が懸かった3場所目で敗れてきたが「(過去2回は)力を出し切れていなかった。緊張はするだろうけど、まず力を出し切ることを考えて走りたい」の言葉通り、内容、結果ともに非の打ちどころなし。まさに有言実行だ。

特昇は同期で10人目。高校、大学と中長距離で活躍した地足型で、同期のダッシュタイプに出世でわずかに後れを取った形だが、ラインをしっかり連れて風を切り、そのラインをうまく利用して押し切る走りはS級、そしてG戦線でこそ生きる。ただでさえ現在の輪界を席巻している近畿勢に、また1つ大きなピースが加わった。

今年の「秋の陣」はどうなるか? 今から楽しみでならない。【栗田文人】


S級特昇を決めた谷内健太
S級特昇を決めた谷内健太