父は富山開催が終わると毎回鱒ずしを買ってきてくれた。父が引退してしばらく空いたが、私の鱒ずし愛は冷めなかった。初めて富山を走った時、鱒ずしを買って家まで我慢できずに車の中で食べた。生涯の鱒ずし消費量は富山県人に負けていないはずだ。

ヤマコウはさばきを身につけた松本貴治に注目
ヤマコウはさばきを身につけた松本貴治に注目

最近、年を取ったのか気になることが多い。私は追い込みで走っていたので、番手の序列についてよく考える。先行選手や自在選手、それぞれ勝負するお題がある。しかし、追い込み選手同士が勝負するレースが格段に減った。なんなら勝負に行く同地区の追い込み選手と別に走ることも多々ある。格ではなく点数順で並ぶ競輪の弊害だ。追い込み選手だけが勝負する機会が減っている現状で、そこにリスペクトは生まれるのだろうか。体を削って番手をもぎ取る連中はもまれて技術も付く。しかし、そうでない選手はプロとは思えないさばきを見せる。

先日、玉野サマーナイトFを走った松本貴治の2予で見せたブロックはプロのそれだった。引きつけて体で当たる番手のお手本。松本は古性優作クラスに近づいている。多少荒い面はあるが、常に勝負している姿勢がいい。こういう選手が、肝心要のレースで番手を無風で回れる。競輪選手にとって勝負は必要不可欠なのだ。(日刊スポーツ評論家)