全日本実業団対抗女子駅伝は12月13日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間42・195キロで行われる。昨年3位のヤマダ電機は西原加純(26)を中心とする3本柱で初優勝を狙う。

 チームの主力となるのが世界陸上1万メートル代表の西原、森唯我(27)竹地志帆(25)の3人。全員が佛教大出身で、同大学を全日本大学女子駅伝で連覇(09~10年)するなど強豪に育て上げた森川賢一監督(57)が実業団でも手腕を発揮し始めている。

 エースの西原は昨年のアジア大会1万メートルは8位だったが、今季は日本選手権の同種目を連覇。世界陸上でも13位(日本人1位)と、国際大会でも成長していることを示した。しかし駅伝では学生時代と違って実業団では良い走りができていない。昨年も故障による練習不足のため短い2区(3・9キロ)に回った。西原は「そろそろしっかり走らないと。今年は長い区間で区間賞を取ってチームに貢献したい」と駅伝でのチームへの貢献を期している。

 ヤマダ電機の強みは竹地を後半の長距離区間である5区(10・0キロ)に置けること。昨年の日本選手権1万メートルで2位、今秋の全日本実業団1万メートルでも自己ベストをマークして3位(日本人2位)の実力を持ち、上位候補チームの中でも優位に立つことができる。

 さらに1区候補の森は駅伝では2年連続1区区間賞で、5000メートルでもリオ五輪標準記録に肉薄する力の持ち主。森川監督は「1区はエースが来る区間ではないので森の力が一番ある。区間賞を取らないといけないところ」と厳しい言い方で信頼を寄せる。森と森川監督は京都の桂高で選手と顧問だった。2人そろって佛教大に進んで選手と監督になり、4年目に全日本大学女子駅伝に初優勝を飾った。ヤマダ電機には森が2年先に進んだがケガが多く一度は退社。森川監督が就任した1年後に復帰して、日本のトップレベルに近づいている。森は「駅伝の優勝は(復帰を認めてくれた)ヤマダ電機への恩返しであり、監督への恩返しでもあるんです」と感謝を口にする。師弟コンビは森川監督の就任4年目で、実業団でも頂点を狙う準備ができたと感じている。