今回は、2013年創立の「LiensCheerdanceTeam(リアンズチアダンスチーム)」(以下、リアンズ)です。Bリーグのサンロッカーズ渋谷の元チアリーダーでディレクターを務める宮本未典さんに、指導で大切にしていることや、やりがいについて聞きました。

チアコンペティションに出場したリアンズのメンバー(提供写真)
チアコンペティションに出場したリアンズのメンバー(提供写真)

宮本さんは、3歳からバレエを始め、埼玉・西武台高チアダンス部に所属。競技会のミスダンスドリルチームでは、フラッグトワラー部門で2位。大学では主将として、「USAリージョナルス2008」POM部門で3位を獲得。その後、BリーグSR渋谷専属チアリーダー「サンロッカーガールズ」として4シーズン活動した。

13年にはチアダンスチームのリアンズを創立。3歳から小2までのプチクラス、小3から小6までのジュニアクラス、選抜テストに合格した小3から高校生までのユースクラスに分かれて、週に1回約1時間の練習を行っている。昨年からは、さらにレベルアップしたい生徒向けに、スキルアップクラスも開講した。

指導は、あいさつや返事、目を見て話を聞くなど、ダンススキル以外にも“礼儀”を重視。「これまでのチア経験を通して、礼儀の大切さを学んだからです。イベントや大会の時に、感謝の気持ちを表すことで、また(会場に)呼んでもらえます」と宮本さんはその理由を話す。

「Lien(リアン)」はフランス語で“絆”。メンバー同士が、チアだけでなく、学校生活や私生活でもそれぞれ絆を深めてほしいという思いが込められている。「絆を深めることでチームワークが強化され、それによってダンスのシンクロ性を高めることにもつながります。お互いのことをよく理解することで、練習中も助け合えます」。

もう1つ、大切にしている合言葉が、見ている人を元気にする“チアスマイル”。「初めはうまくできない子どもたちも、ダンスを心から楽しみ、チアを好きになるうちに自然にできるようになります」。

礼儀や絆、チアスマイルを磨くことで、子どもたちはチア以外の生活で褒められることが増えたという。以前は引っ込み思案だったり、恥ずかしがり屋だった子どもが「授業で手を挙げて発言するようになった」「親戚の集まりなどで、自らあいさつができるようになった」など保護者から喜ばれた。「それが子どもたちの自信になっていると聞いています」と宮本さんは笑顔を見せる。

創設時からのメンバー、砂川愛実さん(中3)もそんな1人。はじめはお母さんがそばにいないと泣いてしまうこともあったが、15年度にはユースクラスに合格するほど成長。昨年はキャプテンとして、町田チアリーディング連盟主催の競技会(約40チーム出場)で、2年連続のグランプリへ導いた。母涼子さんは「警戒心の強かった娘がはじめて自分からやりたいと言ったのがチアでした。キャプテンになるときも自ら志願。まだまだ実力が伴ってないと私は反対しましたが、普段は口数の少ない娘がチームへの思いを力強く話し、もう親が口出しすべきではないと。娘の成長とともに親も成長させてもらいました。イベントや大会の後は毎回必ず“ありがとう”と言ってくれます。自然と感謝の言葉が出る姿勢も、このチームから学ばせてもらったと思います」と話した。

B1SR渋谷の試合でパフォーマンス(提供写真)
B1SR渋谷の試合でパフォーマンス(提供写真)

リアンズは、15年から他のキッズチアチームとともに、BリーグSR渋谷のハーフタイムショーにも出演。宮本さんは「自分がかつて踊っていたコートで、自分が考えた振り付けで教え子たちがキラキラ輝いている姿を見るとうれしい気持ちになります。これをきっかけに、サンロッカーズ渋谷のファンになってくれた子どももいます。私が大切にしていたチームを同じように応援してくれたり、家族でチケットを購入して、試合会場に自ら足を運んでくれる子どもも増えたことがうれしいです」とやりがいを語った。

SR渋谷のパフォーマンス以外にも、地域イベントやチアダンス大会にも出場している。「イベントや大会の度に、新しいダンスの振り付けを考える大変さはありますが、それを生徒たちが形にしてくれる達成感があります。今後は海外(米国)につながる大会に挑戦を目指していきたいです」と話した。

◆LiensCheerdanceTeam(リアンズチアダンスチーム)拠点は埼玉県川口市。メンバーは現在52人。コーチは2人。同市の公共施設で練習を行っている。さいたま市などの地域イベントにも出演。