テニスの全米オープンで、大坂なおみ(20=日清食品)が、日本人初のメジャー制覇を果たした。ゴルフ界でも、19歳の畑岡奈紗(森ビル)が、13日開幕のエビアン選手権で、樋口久子以来41年ぶり、史上2人目の日本人によるメジャー制覇に挑戦する。

その畑岡が、先月31日にWOWOW本社で行われた会見で話したことを、大坂の試合を見て思い出した。大坂は、第2セットの第4ゲームで初めてサービスゲームを落とし、セリーナ・ウィリアムズ(米国)に1-3とされた場面で、無理やり(に見えた)笑顔をつくり、気持ちを切り替えた。畑岡は、エビアン選手権に臨む心構えを聞かれ「自分でプレーしていて、同伴競技者と楽しく話ながらプレーしているときの方が、調子がいい。笑顔でプレーすることで変わるのであれば、笑顔でプレーしようと思う」と話していた。

大坂と畑岡には、笑顔という共通点があった。真剣勝負の局面で笑顔と言われると、違和感をおぼえる人も多いだろう。4日付朝日新聞の天声人語には、笑顔の効用として、笑顔になると脳内でやる気にさせる神経伝達物質ドーパミン系の神経活動に変化が出るという、科学的根拠もあると紹介されていた。

国内女子ゴルフでは、先月行われたNEC軽井沢72大会で、木戸愛(28=ゼンリン)が笑顔で気持ちを切り替えた効果を語っていた。初日の5番ホールでボギーをたたいた直後のグリーン上であえて笑い、その後の6番パー4でイーグルを達成。初日2位と好発進につなげた。木戸は「今日はミスしても笑うようにして、いい方向にいきました。ボギーがきても、前向きに笑って次のホールにいけた」と説明した。木戸のほかにも、笑顔を成績向上のキーワードに挙げる選手が出てきている。

相手と競い合うことを楽しむこと、そして勝敗を楽しむことがスポーツの本質だ。楽しむ心が、笑顔につながる。天声人語には、笑顔をつくるから楽しくなるという効果も紹介されていた。畑岡は、米女子ツアー本格参戦となった今季、アーカンソー選手権で初勝利を挙げた。その後、メジャー大会の1つ、全米女子プロゴルフ選手権では2位と、大坂と同じように着実に優勝への階段を上っている。今季最後のメジャー大会となるエビアン選手権で、大坂と同じように、笑顔を優勝につなげてほしい。【桝田朗】