ピッチマーク

畑岡ら育てたゴルフ界の「ジョーンズ」韓国勢も驚き

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で、日本代表の躍進に日本中が沸いている。前監督で、現イングランド代表監督のエディー・ジョーンズ氏が種をまき、ジェイミー・ジョセフ現代表監督が見事に開花させた。今、渋野日向子人気に沸く女子ゴルフ界にも、その進化の種をまいた、もう1人の「ジョーンズ」がいる。アマチュア年代のナショナルチームを率いるガレス・ジョーンズ・ヘッドコーチ(43=オーストラリア)だ。

日本ゴルフ協会ナショナルチームのガレス・ジョーンズ・ヘッドコーチ
日本ゴルフ協会ナショナルチームのガレス・ジョーンズ・ヘッドコーチ

14年に日本(軽井沢)で開催された世界アマチュア選手権での惨敗を機に、15年に招聘(しょうへい)された。20年東京オリンピック(五輪)へ向けて、若手の強化を図ることが主な目的だった。ジョーンズ氏が就任して1年目、教え子の畑岡奈紗(20=森ビル)が、アマチュアで日本女子オープンを制覇。男子では17年に金谷拓実(21=東北福祉大3年)は日本オープン2位に入った。18年には男子がアジア競技会で団体・個人ともに金メダル。女子は世界女子アマで歴代最高の2位に入るなど、躍進を遂げた。さらに、安田祐香ら、プラチナ世代と呼ばれる才能豊かな選手たちを育ててきた。

ジョーンズ氏は、畑岡らゴルフ界の将来を担う若手に、準備の大切さ、ショートゲーム練習の大切さを説いた。ゴルフの技術だけではなく、体力強化やメンタル面についても細かく指導。ゴルフへ向き合う意識を大きく変えた。

そんな教え子の1人、畑岡は今季の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯、日本女子オープンと国内メジャー2連覇を圧倒的な強さで成し遂げた。小さな体でもショートゲームのうまさを駆使して、米ツアーでも今季1勝に2位2回。安定した強さで、世界ランク3位と、来年の東京五輪でも金メダルの有力候補となっている。

ジョーンズ氏はナショナルチームを卒業した畑岡を、米ツアー後も支えている。特別強化指定選手の1人として、日本に戻ってきたときの練習をみたり、米国にいるときは、細かいチェックリストのデータを携帯でやりとりし、畑岡の状態を常に把握。トレーニングのアドバイスも送っている。「今季悪かったのは全英女子オープン前後の2週間だけ。米国で1勝し2位2回とすばらしいシーズンを送っている。今年は自分が世界で通用すると分かったし、きちんと自己評価ができるようになった」と目を細め、畑岡の進化を喜んだ。

また、畑岡らナショナルチームのメンバーの活躍で、同じ世代の多くの選手がそのやり方や、練習法を参考に日々研さんを続けている。黄金世代と呼ばれる98年度生まれの選手たちが今季、突然のように躍進してきたベースには、ジョーンズ氏の指導が、少しずつ若い世代に浸透してきているという見方もできる。

先日のスタンレー・レディースに優勝した黄アルム(31=韓国)がいみじくも言っていた。13年間日本でプレーする黄は「最近はしぶこ(渋野日向子)とか、若い選手がみんなうまい。ショートゲームがうまくなったし、よく練習するようになった」。練習量の多さは、女子ゴルフ強国・韓国の象徴だったが、韓国出身の黄が驚くほどに、日本の若手の状況は変わってきた。ジョーンズ氏がまいた種は、大きなつぼみとなって、花開く時を待っている。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

6日、日本女子オープン3度目の優勝を決め笑顔でガッツポーズする畑岡奈紗(撮影・上田博志)
6日、日本女子オープン3度目の優勝を決め笑顔でガッツポーズする畑岡奈紗(撮影・上田博志)

トッププロの高く、スピンがきいたアイアンショットはグリーンにピッチマークと呼ばれる着弾痕を残します。ゴルフ担当記者が国内外のツアーなどの取材を通じて、ピッチマークのように心に残ったエピソードや、思ったこと、感じたことなどをつづっていきます。

おすすめ情報PR

ゴルフニュースランキング

    更新