昨季賞金女王の鈴木愛(23=セールスフォース)が、汚名返上のぶっちぎり優勝を飾った。首位から出て3バーディー、1ボギーの70で回り、通算10アンダーの206。2位葭葉(よしば)ルミ(25)に4打差をつける完全優勝だった。前週の米メジャー・ANAインスピレーションで76位に終わり、新パターを導入。2年連続の賞金女王へ、今季国内4戦で早くも2勝目を挙げた。

 やはり賞金女王は強かった。単独首位から出て、2位に4打差をつける完全優勝だ。今季出場した国内ツアーでは2戦連続Vで、4戦2勝。全てトップ3入りという圧倒的な強さだ。平均パット数1・68、平均バーディー数4・63は断トツ。今季国内6戦で優勝した日本人は鈴木しかいない。それでも「自己採点は50点。日本で成績を残すのはもちろん。海外で結果を出せていないのが実力だから」と厳しかった。

 前週のメジャー第1戦、ANAインスピレーションは、決勝進出者のうち最下位の76位。日本で勝てても米国では勝てないジレンマがある。パターの職人は、前週まで2本を併用していたが、今週から新兵器1本で勝負。インサートのない未発売のPING「VAULT2・0」で、担当者は「直進性が良く、打点がブレても転がりが変わらない」と説明。屈辱を振り払うように4番で5メートル、6、8番は2メートルのバーディーパットを確実に沈めた。

 会場には交流のある小学生と中学生の3姉妹が応援に訪れていた。「小さな子どもの目標にされるようになりたい。2割は米国挑戦したい気持ちがある」。日本の「愛」から、世界の「AI」へ。2年連続の賞金女王とともに、米国へと広がる夢がある。【益子浩一】