【オーガスタ=高田文太】タイガー・ウッズ(46=米国)が奇跡の復活を遂げた。

20年11月にプレーしたオーガスタで、昨年2月の自動車事故をへて508日ぶりのツアー復帰。3バーディー、2ボギーの1アンダー、71で首位と4打差10位につけた。右脚大けがにより一時は復帰不可能ともささやかれてから、わずか1年2カ月でカムバック。4大メジャー中自己最多5勝を誇る“自分の庭”で、パトロンを熱狂させた。

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青空からボールが降ってきた。ラインに乗ってピン手前50センチに止まった。パトロンと呼ばれる大観衆の歓喜が爆発した。6番パー3。ウッズは楽々パットを沈めた。20年11月15日、コロナ禍でマスターズ史上初めて秋に、無観客で行われた最終日、上がり4連続で決めて以来のバーディーだ。

「長い間競技から離れていたのにアンダーパー。本当にいいプレーだった」。衝撃の事故から1年2カ月。ヒートアップしたパトロンは18ホールで何重もの人垣を作り、出迎えてくれた。13番パー5は2オンに成功、2パットのバーディー。16番パー3では8メートルのフックラインを放り込み、ガッツポーズを決めた。

ウッズも人の子だ。1番でドライバーを右に曲げ、亡き父アールさんの言葉を思い出した。「ひどいショットだった。父が良く言っていた。『ウオーミングアップでちゃんとやるべきことをやったか?』と。イエスと思って、OK、いいプレーをしようと」。

ベストではない。慎重な歩き方。右脚を曲げ切れず、中腰でラインを読む。高低差の激しいコースで、クラブをつえのように使う場面もあった。初日の平均飛距離288・3ヤードは5度目の優勝を飾った19年大会の4日間平均294・6ヤードと大差ないが、当時80%超のパーオン率は50%。フルに捻転を使えないスイングでは限界がある。

しかし、パット数27は8位。絶妙なアプローチで、7つの1パット・パーを決めた。「ここでのプレーの仕方は知っている。トップと(さほど)差はない。飛距離は出せないが、チップとパットはトップレベルで戦える」。メジャー15勝中最多5勝を挙げたコースなのだ。

開幕前に「勝てる」と言った。1番の問題は72ホールを歩けるか-。「思っていたように痛さを感じている。でも、ゲームが始まるとアドレナリンが出る。ここからはトレーニングの成果とスタミナの問題。アイシングして、氷風呂につけて、死ぬほど冷たくする。それが一番大事。痛みをとって、また動けるようにする」。奇跡の復活から、奇跡の優勝へ。ウッズの伝説がまた1つ始まった。

<ウッズ事故からの1年>

▼21年2月23日 米ロサンゼルス郊外で自動車の単独事故を起こす。

▼3月16日 退院し、自宅に戻ったと報告。

▼4月23日 松葉づえ姿の写真をSNSで公開。右足膝から下をギプスで固定、ゴルフ場で愛犬バグと。

▼5月27日 米専門誌で「今の一番の目標は自力で歩けるようになること」。

▼10月10日 松葉づえなしで、息子チャーリー君が出場のジュニア大会が行われたフロリダ州のゴルフコースに現れたと報じられる。

▼12月17日 米オーランドでのエキシビション大会で事故後初めて公の場で18ホールをプレー。チャーリー君と回る。

▼22年3月9日 世界ゴルフ殿堂入りの記念式典に出席し、スピーチ。

▼4月3日 公式ツイッターに「今日、準備と練習のためにオーガスタに行く。出場するかどうかは大会当日に決める」とつづる。

▼4月5日 大会公式会見で出場を明言。