数々の金字塔を打ち立ててきた元女王が、どん底から復活を目指す。
国内女子ゴルフツアーの今季開幕戦ダイキン・オーキッド・レディース(6日開幕)を2日後に控えた4日、会場の沖縄・琉球GCで、ツアー通算13勝の稲見萌寧(25=フリー)が調整を行った。昨季は主戦場を移した米ツアーで予選落ち続き。コロナ禍でシーズンが統合された20-21年に歴代最高額で賞金女王に輝き、21年東京五輪ではゴルフで日本人初の表彰台となる銀メダル。2年ぶりに国内ツアーに主戦場を戻し、かつての強い姿を取り戻すつもりだ。
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9ホールの練習ラウンドを終えても、練習をやめなかった。稲見はショットもパットもアプローチも、入念に繰り返した。1年間で国内ツアーで8勝し、五輪銀メダルまで獲得した21年と同様に“練習の虫”と化していた。昨季は主戦場を移した米ツアーで、出場18戦で予選落ちが10戦、棄権2戦。不振の最大の要因だった持病の腰痛が快方に向かった証明だった。本格的にプロ生活をスタートした19年以降、昨年は初の未勝利。2年ぶりの沖縄での開幕戦を前に「なるべく早く優勝したい」と力説した。
現在の仕上がりは「10%ぐらい」と厳しく自己分析した。自身への期待も「全くできないけど、その中で自信をつけていかないと」と、はやる気持ちを抑えて言い聞かせた。22年は年間3位だったが、23年は同16位で1勝のみ。その1勝が日本開催の米ツアー、TOTOジャパン・クラシックで、米ツアーのシード権を得た。そこで悪化させた腰痛も「スイング中はなくなってきた」と復調気配だ。
昨季の深刻な胸の内も明かした。「あれだけスイングを変えたり、何なりしたら日本でも全然無理。『ゴルフをやりたくない』ぐらいまでいっていた」。昨季の米ツアーは1月の8位が最高。国内も出場5戦で3度予選落ちした。「腰をやっちゃってから体が変わった。変わっているのに、それ(20-21年の自分)を求めているから、おかしかった。もう求めずにイチから作り直そうと体づくりをしてきた」。栄光を忘れた。
苦労した米国生活で「芝の対策とかで、パターは海外でめちゃくちゃ良くなった」と、転んでも、ただでは起きないのは元女王の意地だ。米国で料理が趣味になったといい「ハマってます。けっこう自分のご飯がおいしい」と笑った。チャーハンやタコライス、油淋鶏などを作る。吹っ切れた明るい表情が、完全復活を予感させた。【高田文太】
【21年以降の稲見の浮沈】
◆21年8月 東京五輪で世界ランキング1位のネリー・コルダ(米国)を追い詰め、リディア・コ(ニュージーランド)とのプレーオフを制し銀メダル獲得。
◆21年11月 古江彩佳との争いを制して賞金女王。変則的な2年間にわたる20-21年シーズンとはいえ、獲得賞金2億5519万2049円は歴代最高額。
◆22年 メルセデス・ランキングで争われる初の年間女王レースは3位。
◆23年 国内ツアーで開幕戦2位、3戦目3位と好スタートを切ったが、5戦目からの5戦は予選落ち4戦、棄権1戦。そこから立て直せず、11月のTOTOジャパン・クラシックでシーズン初優勝。辛うじて、5年連続勝利を継続した。
◆24年 米ツアーに主戦場を移し、2戦目のドライブオン選手権で8位。だがこれが年間を通じて最高成績だった。メジャーは4月のシェブロン選手権46位が最高。国内外合わせて、4戦連続予選落ちでシーズンを終了する形となった。

