女子史上初の五輪4連覇へ、58キロ級の伊調馨(31=ALSOK)が異次元の強さを見せた。1回戦から無失点で勝ち進んだ伊調は、決勝でもピーター・オリ(21=フィンランド)を圧倒。10-0のテクニカルフォールで3年連続10回目の優勝を決めた。五輪と合わせて13回目の頂点に立つとともに、来年のリオデジャネイロ五輪代表も内定。男女を通じて4人目、女子では史上初の五輪個人種目4連覇がかかるリオ五輪で、理想のレスリングの完成を目指す。

 伊調が「遊んでもらっている」という男子フリー代表の田南部力コーチ(40)は「研究熱心で執着心もすごい。フェチですね」と話す。ビデオで見た世界トップレベルの男子の技術を試行錯誤しながら自分のものにする。「理論的に説明して、実際にやってみる。女子には珍しく技術を言葉で表せる選手」という。今大会でも女子の練習後に居残りで技を磨く2人の姿があった。「新しい技をマスターすることが楽しいんですよ。伊調は、今が一番強いと思う」とも言った。

 発展途上の女子レスリングだが、各国が力を入れだした今大会では男子のような技術を身につけて戦う選手もいる。その先駆けでもある伊調は、そんな現状を喜ぶ。「レベルが上がってくれば、もっと強い選手と戦える」と。「男子とは力が違いすぎるので試合するのは無理だけど、男子に生まれたかったと思うことはある」。11日から本格的に始まる男子フリー。生でトップの試合を見られるチャンスに「ドキドキしています」。その考え方も、女子の中では異次元にある。