日本は28日の第1日に初出場の女子48キロ級渡名喜風南(となき・ふうな、22=帝京大)とリオ五輪男子60キロ級銅メダルの高藤直寿(24=パーク24)がダブル金メダルで好発進した。最軽量級のアベック優勝は97年パリ大会の野村忠宏、田村(現姓・谷)亮子以来20年ぶり。女子48キロ級近藤亜美(22=三井住友海上)は銅メダルだった。

 渡名喜は、4年前の覇者ムンフバットとの決勝を得意の足技で果敢に攻めた。開始3分35秒。小外刈りで技ありを奪い、優勢勝ちした。長年近藤亜美(三井住友海上)の陰に隠れていた存在が、ついに名を上げ「今まで優勝しても泣くほどではなかったけど涙が出た。48キロ級で小さい方だけど『小さくても強いんだぞ』と見せられたと思う」と瞳を潤ませた。

 高藤は、サファロフとの決勝で3分20秒、大内刈りで一本勝ちした。ライバルで東海大の後輩、永山竜樹が3回戦で敗れて頂点に立った。「今回は、組み合わせから運が良かった。勝って当たり前。まだ永山選手に勝ってないので、勝ってから喜びたい」と満足はしていなかった。

<渡名喜風南こんな人>

 ギャップのある柔道家だ。瞳は大きく、ハッキリした顔立ちでまさに沖縄人。両親が沖縄県南風原町出身で、名前は「風南(ふうな)」。「いかにも南国風」という感じで、名前の由来を聞いたら違った。「実は、全然関係ないんです。母が『風ちゃん』って呼びたいがためにつけたらしいです。今は風南ですけど…」。これを聞いて大爆笑した。さらに4姉妹の末っ子で姉3人も南国を連想される名前かと思いきや違う。幼少期は木登りや格闘技が大好きの自称野生児。しかし、柔道においては南国気質の「なんくるないさー(何とかなるさ)精神」はなく、真面目でストイック。容姿とギャップのある世界女王が誕生した。【峯岸佑樹】