昨年9月に開催されたカヌーのスプリント日本選手権(石川県小松市)で、鈴木康大選手(32=福島県協会)がライバルの小松正治選手(25=愛媛県協会)の飲み物に禁止薬物を混入させ、小松選手がドーピング検査で陽性となった問題で、日本カヌー連盟は9日、鈴木選手を定款上、最も重い除名処分とする方向となった。3月にも理事会に提案する。石川県警も捜査に着手した。

 同連盟の古谷利彦専務理事によると、小松選手の陽性反応を知った鈴木選手が昨年11月、電話で混入を認めた。2010年ごろから国内大会や日本代表の海外遠征中にパドルの破損や紛失、現金の盗難などが度々発生。鈴木選手は一部への関与を認め、小松選手以外への妨害行為も証言したという。

 禁止物質を含むサプリメントの錠剤は、昨年8月中旬の海外遠征中にインターネットで購入したことも分かった。

 石川県警は禁止薬物混入のほか、競技で使用する道具を盗まれたとする被害届を小松選手から受理した。古谷専務理事は、理事会の開催時期について「(捜査が)終わり次第、速やかに」と述べた。

 カヌー連盟はドリンク保管所を大会中に設置するなどの再発防止策も発表した。

 この問題で、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は鈴木選手に8年間の資格停止処分を科し、暫定的に資格停止となっていた小松選手の処分は解除した。