世界ランキング21位の錦織圭(28=日清食品)の2度目の決勝進出はならなかった。同6位のノバク・ジョコビッチ(31=セルビア)に3-6、4-6、2-6で敗れた。

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錦織は戦術と体力の両面でジョコビッチに完敗した。

この大会、ジュースサイド(右側)からワイド(相手コートの外側)に逃げていくスライス、キックサーブが効果的だったが、ジョコビッチにはまったく通用しなかった。コースと回転を読まれて第1サーブでも強烈なリターンを浴びた。逆にジョコビッチの第2サーブを攻略しようとしても、ボディー(体の正面)を狙われて持ち味のリターンを封じられた。専属アナリストを持つジョコビッチに徹底して研究されていたのだろう。

準々決勝のチリッチ戦の体力的なダメージも大きかった。スマッシュのチャンスでネットに詰めた際に足がもつれたし、バックのハイボレーがジャンプ不足でフレームショットになった。頭でプレーをイメージしても体がついていかなかった。

錦織が戦った6試合の第1サーブ確率は平均58%。相手を上回ったのは3回戦のシュウォーツマン戦だけだった。世界のトップを倒すためには、まずこの数字を5~10%上げることが必要だと思う。(亜大教授、テニス部総監督 堀内昌一)