ワールドカップ(W杯)初代女王の座を狙う。ノルディックスキー複合女子のW杯が18日、オーストリア・ラムソーで初開催される。中村安寿(20=東海大北海道)は優勝候補の1人だ。同じく複合女子を初実施する来年2月の世界選手権(ドイツ・オーベルストドルフ)で金メダルを目指す20歳が、歴史的初戦の勝利をつかみ取る。

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中村が複合女子の歴史的Vを目指す。今季から開催される女子のW杯は、当初開幕戦の予定だったノルウェー・リレハンメル大会が延期になり、やっと18日にオーストリア・ラムソーで第1戦が行われることが決まった。中村は10日に出国し現地で調整中。「他国の選手たちは雪上でジャンプを飛んでいるけど、私はほぼぶっつけ本番。不利だけど言い訳はしない」と頂点を目指す。

複合女子の歴史はまだ浅い。W杯の下部大会コンチネンタル杯も18年1月から始まったばかり。中村は同杯で20年2月のオーストリア・アイゼンエルツ大会で個人戦初優勝を果たし、続く2戦目も3位と好成績を残している。雪上練習ができないまま日本をたったが、助走での重心を体の中心に意識することで「昨季より安定したジャンプが飛べるようになった」。得意の後半距離も「体力には自信がある」と、優勝争いを繰り広げるつもりだ。

競技を始めて6年目。もともと距離の選手だったが、東海大札幌高1年からジャンプにも挑戦し、複合に転向した。まだ競技人口が少ない種目で、「スポーツをやっている以上、五輪に出たい」。26年冬季五輪(イタリア)での正式種目採用を信じて、持ち前のガッツと勢いで突き進む。

約束がある。現在W杯遠征中のジャンプ男子の兄直幹(24=東海大札幌ク)から出発前に「次は世界選手権で会おう」と言われた。2月に予定されている世界選手権に兄妹での出場を果たせたら「絶対に金メダルを取りたい。一番大きな目標」と世界一を目標に掲げている。【保坂果那】

◆中村安寿(なかむら・あんじゅ)2000年(平12)1月23日、札幌市生まれ。5歳から札幌クロスカントリースキー少年団で距離を始める。札幌大倉山小、札幌宮の森中を経て東海大札幌高1年から複合転向。東海大北海道1年で海外デビュー。世界ジュニア選手権19年3位、20年9位。19年1月から参戦するコンチネンタル杯で個人戦4戦1勝。家族は両親と兄、弟。155センチ、45キロ。