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日本は後半失速、フィジカル勝負受け身に/沢木敬介

後半、モールで押し込まれる日本(2019年10月20日撮影)
後半、モールで押し込まれる日本(2019年10月20日撮影)

南アフリカのプライドが日本の体力を奪った-。前サントリー監督の沢木敬介氏(44)は日本-南アフリカ戦のスタッツ(統計データ)を手に解説した。

試合前の予想通り、ラインアウトでは完敗を喫したが、他のスタッツは試合を通じてほぼ互角。もっとも、前後半の数字を比べると、前半の健闘と後半の失速が浮かび上がった。大会を通じて好パフォーマンスを見せてきたジャパンが、真の強国の前に力尽きた。

   ◇   ◇   ◇

日本-南アフリカのポゼッションとテリトリー
日本-南アフリカのポゼッションとテリトリー

点差からみれば完敗だったが、日本は健闘した。苦戦が予想されたラインアウトでは南アの100%に対して76・9%も、他のスタッツは互角だった。ポゼッション(ボール支配率)やテリトリー(地域獲得率)は50%近く、キャリー(ボール保持)での獲得距離は444メートルと上回った。タックル成功率も90・4%と南アの92・1%に迫った。

もっとも、これは80分間でみた場合。前後半に分けると、まったく違う試合になる。ポゼッション、テリトリーは前半60%近かったが、後半は正反対。ペナルティーも前後半で対照的だった。前半のパスは141本で相手の4倍あったが、後半は54本で下回った。

日本-南アフリカの各プレー統計データ
日本-南アフリカの各プレー統計データ

1次リーグの日本は、後半にフィットネスの差で勝ちきった。しかし、南ア戦は後半で足が止まった。持ち味でプライドでもあるフィジカルを前面に押し出す南アと激突し、体力を奪われた。これがボディーブローのように効いた。

1次リーグと違って、涼しかった。暑さのアドバンテージはなかった。ここまでフル出場4人の日本に対し、選手を入れ替えて戦ってきた南アはほとんどが3試合目。試合のMVPに輝いたSHデクラークは、1次リーグで131分しか出ていない。疲労の蓄積という点で、プレータイムの差は結果にも影響した。

後半、主力級のFWを投入してくる相手に対し、日本は受け身に回った。自陣で反則し、PGで差を広げられた。後半25分にはモールを押し込まれて決定的なトライを許した。ボディーブローを浴び続けた選手に耐える力はなかった。

優勝経験のあるニュージーランドやイングランド、南アは決勝トーナメントからが強い。前回大会の雪辱を期す南アは容赦なく日本の強みを消してきた。数字的には勝っていた前半も、デクラークの早いプレッシャーでSH流のテンポを止められた。松島と福岡のWTB陣もスペースを見つけることができなかった。正直、力の差はあった。

それでも日本の健闘は素晴らしい。アイルランド、スコットランドなどティア1の中堅には勝てるまで成長した。準々決勝のウェールズとフランス戦は「どちらでも日本は勝てる」と思いながら見た。ただ、ニュージーランドや南アに勝つのは簡単ではない。もう少し時間が必要だと思う。

後半、南アフリカSHデクラーク(右)にトライを決められる、左はWTB福岡堅樹(2019年10月20日撮影)
後半、南アフリカSHデクラーク(右)にトライを決められる、左はWTB福岡堅樹(2019年10月20日撮影)

◆沢木敬介(さわき・けいすけ)1975年(昭50)4月12日、秋田県男鹿市生まれ。秋田経法大付(現明桜)高—日大を経て98年にサントリー入り。SO、CTBとして活躍した。06年から6年間、サントリーでコーチを務め、13年にU—20日本代表監督に就任。15年W杯ではコーチとして南アフリカ戦勝利に貢献した。16年にサントリー監督に就任してトップリーグ連覇後、昨季限りで退任した。

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