15季ぶりの優勝を目指す神戸製鋼が、16年に他界したOB平尾誠二さん(享年53)の命日に7トライを奪う快勝でレッドカンファレンス(紅組)の1位通過を決めた。

日本代表の宮崎合宿から戻ったFB山中亮平(30)が先制を含む3トライを決め、元ニュージーランド代表(オールブラックス)のSOダン・カーター(36)が1PG、5GKで13点を稼いだ。神鋼は6勝1分けの勝ち点30。12月1日からは紅組とホワイトカンファレンス(白組)の各上位4チームによる決勝トーナメントを戦う。

フランカー橋本大輝主将(31)は「勝ち負けはさほど重要やない。自分たちが納得できるかどうか」という平尾さんに教わった言葉を紹介しつつ「今日だけは結果だけを求めました。だから、すごく安心しています」と話した。

試合前の1週間、チームとして「平尾誠二」を再確認した。デーブ・ディロンヘッドコーチ(HC)がスタッフに頼み、平尾さんの現役時などの映像を作り、平尾さんを知らないメンバーのためにも、ミーティングで流した。カーターは「きょうは彼のアニバーサリー。スティーラーズのレガシー。みんなが彼のために戦った」と話した。

マン・オブ・ザ・マッチに輝いた山中は「僕は平尾さんがいなかったら、クビになってておかしくなかったんで」という。平尾さんは、口ひげの育毛剤がドーピングに抵触し、11年から2年間の資格停止処分を食った際、チームに引き留めてもらった“恩人”だ。「本当にすごく感謝していますから」と、大事な日を勝利で終えたことを喜んだ。