新生児室狙った、看護師に止められ病室へ
仙台市宮城野区の光ケ丘スペルマン病院から新生児が連れ去られた事件で、逃走中の男は隣の病室や新生児室にも押し入ろうとしていたことが7日、病院側の話で明らかになった。仙台東署捜査本部では、男が当初から無差別に新生児を連れ去る目的だった可能性が高いとみて調べている。現場近くで犯行時間帯に白っぽい乗用車が目撃されており、捜査本部では割り出しを急いでいる。
病院や捜査本部によると、病院3階の307号室で寝ていた会社員山田斉さん(27)の長男柊羽(しゅう)ちゃんを連れ去った男は、その直前にすぐ隣の308号室にも押し入っていた可能性が高くなった。夜間は閉じられている308号室の引き戸が開いていた。308号室には妊婦を含む母親2人しか在室しておらず、新生児はいなかったという。
また、男は事件直前、ナースセンターで看護師2人を脅し、すぐ隣の授乳室、新生児室に強引に入ろうとしたが、看護師に阻止されたことも分かった。当時、授乳室には母子1組が寝ており、新生児室には5人の新生児がいた。捜査本部では、男は当初、授乳室、新生児室を狙ったが、阻まれたため、病室に向かい、308号室に押し入ったものの、新生児がいなかったため、307号室の廊下側に寝ていた柊羽ちゃんを連れ去ったとみている。捜査本部ではこうした経緯から特定の新生児を狙ったものではなく、新生児を無差別に連れ去ることを目的とした犯行との見方を強めている。
また、犯行時間帯に不審な車両2台が病院周辺で目撃されていたが、そのうち1台は所有者が確認され、事件とは関係ないことが分かった。しかし、残りの白っぽい乗用車は所有者が判明されておらず、捜査本部では男が新生児を連れ去った直後に姿をくらましていることから、事件との関連性が強いとみて、車の行方を追っている。
同病院の志村早苗院長はこの日の会見で「職員のほぼ全員と面接したが、事件に結びつくようなトラブルはなかった」と話したが、捜査本部では同病院をめぐる数件のトラブルがあったことを確認。事件と関連があるか調べている。これまでの調べで、男はナースセンターで「院長とわれわれの話だ」と看護師に話し、病院に対する批判や院長への恨みを書き連ねた紙を提示したことが分かっている。
[2006/1/8/07:30 紙面から]
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