◇1992年バルセロナ大会柔道男子95キロ超級決勝(7月27日・ブラウグラナ体育館) ハハレイシビリ(EUN) 合わせ技 小川直也(日本)

 世界選手権3連覇、全日本5連覇で金メダル確実と期待された小川は、決勝でグルジア出身のハハレイシビリと対戦。過去負けなしの相性の良さで油断したのか、開始25秒に釣り腰で技ありを奪われる。焦りからか相手のスタミナが切れる「3分過ぎに勝負」の作戦を忘れて攻めると、逆に1分40秒に谷落としで技ありを奪われ合わせ技で一本負け。競技初日に大黒柱がまさかの黒星を喫した。

 小川は、真っ青な表情で「すみません」と繰り返すだけ。誰もが予想しない銀メダルに、斉藤仁コーチは「世界2位も、我々には地獄」とうなった。小川は今でも「五輪はいい思い出がない」と自嘲気味。長男の雄勢(東京・修徳高3年)が父の思いも胸に、五輪の金メダルを目指す。(2014年9月24日東京本社版掲載)