◇1988年ソウル大会陸上男子100メートル決勝(8月24日・蚕室競技場)

 1位ルイス(米国)9秒92、2位クリスティ(英国)9秒97、3位スミス(米国)9秒99

 飛び出したのは前年に9秒83の世界新を出したベン・ジョンソン(カナダ)だった。連覇を狙ったルイスは追い込んだが届かず。ジョンソンが右手を突き上げながら9秒79という驚異的な世界新でゴールした。しかし、直後の検査でステロイドの陽性反応が出て、まさかの失格。世界中が注目した大会のハイライトは、思わぬ結末を生んだ。

 順位は繰り上がって、ルイスが金。前年のジョンソンの記録も抹消され、この時の「2位」タイムが世界記録となった。ルイスは84年から4大会連続で五輪に出場。走り幅跳びの4連覇など金メダル9個を獲得した。これは、競泳のフェルプス(米国)が更新するまでの最多記録だった。(2014年10月15日東京本社版掲載)