<ロンドン・パラリンピック陸上・短距離/高桑 早生(23=エイベックス)>

 この5年間が勝負です。12年ロンドン・パラリンピックは良い意味でショックでした。五輪スタジアムは8万人の超満員。これまで味わったことのない熱気や歓声を経験し、感動しました。もちろん8万人の前で走るのも初めてで、100メートルと200メートル(ともにT44、下腿=かたい=切断)で7位入賞しましたが、緊張を通り越して「当たって砕けろ」精神で臨みました。

 英国は外国人選手に対しても歓迎ムードで、日本の障がい者スポーツとの向き合い方の違いも感じました。現地で観戦した方は、東京大会への危機感を感じたと思います。5年後に果たして同じこと、またそれ以上のことが出来るのか。陸上で言うと、国内大会の集客数は少なく、欧州は逆です。集客数や認知度の向上が課題で、最低でもロンドン大会と同じぐらいにしないと海外では成功と認められないかもしれません。

 中学1年の時に骨肉腫で左膝から下を切断しました。軟式テニス部に所属していて、当時はテニスを続けるために足を切りましたが、闘病中に佐藤真海さんの著書「ラッキーガール」を読んだのがきっかけで高校から陸上を始めました。慶大では競走部に所属し、義足のデザインの研究もしました。今年4月からは社会人になり、エイベックスの広報課で働いています。会社には競技に集中できる環境も整えてもらいました。

 5年後は28歳。東京大会までは、結果にこだわり陸上に集中すると決めています。脂が乗った良い感じになっていますよ(笑い)。100メートルの自己ベストが(日本記録の)13秒69なので、今年中には13秒5を狙います。この記録を出せば、もう1段階上のステップに進み、国際大会でメダル獲得が出来るレベルまでいけると信じています。昨年10月のアジアパラリンピック(韓国・仁川)では旗手を務めました。同世代の選手からは「アジパラやったから20年はないな」と言われますが、機会があれば東京大会でもぜひ、やりたいです。20代で一区切りつけたいと思っているので、5年後を集大成にしたいです。(2015年10月21日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。