<IWGPヘビー級王者 新日本プロレス 内藤哲也(33)>

 オレがチャンピオンになって、一番うれしいのは、試合前の入場だ。テーマ曲が流れて、1人で花道をリングに向かう。会場のすべての人の視線を感じる。みんながオレを見てくれるんだと。オレが新日本のプロレスラーになりたいと思ったのは、東京ドーム大会の入場シーンを見たのがきっかけだった。テレビで見てても、鳥肌が立った。だから、五輪でも、開会式や各競技の入場シーンに注目している。

 五輪競技は、世界中の人が見ている。そんな舞台で、試合場に向かうプレッシャーってどんなものだろう。プロレスの試合でも、リングに立てば、プレッシャーにおしつぶされそうになる。でも五輪はケタが違う。毎回五輪を見て、オレもそのプレッシャーを感じてみたいなと思うね。

 20年の東京五輪は、日本人でもほとんどの人が初めて自分の国で経験する五輪になると思う。開会式でどれだけのことが起こるのか、想像できないから、どんなものが見られるのかわからない。オレが今、プロレスでやってるユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」で見せたいものも、まさに、どんなものが見られるのかというワクワク感なんだ。東京五輪は、東京でやるし、ワクワク感を身近で感じてみたいね。

 中学、高校とサッカーをやっていて、96年アトランタ五輪で日本がブラジルに勝った試合は、テレビで見て感動した。最近、五輪種目から外れて、東京では戻りそうなソフトボールには注目している。グラウンドは野球より狭いけど、投手の投球など、ありえないスピードの中で戦っている。プレー1つ1つでも、一瞬のミスで試合が決まったりするスリル感に、すごく興奮するんだ。

 リオ五輪では、体操を応援するよ。個人総合に、床や鉄棒など各種目別、団体優勝にも期待している。ワザが毎回ハデになってくるし、内村選手とか本当にすごいよね。オレなんかバック宙の着地でヒザの靱帯(じんたい)を切ったぐらいだから、レベルが全然違うけどね。8月は、新日本のG1クライマックスを戦いながら、リオの日本を応援するよ。

(2016年6月15日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。