<日本バレーボール協会 木村憲治会長>

 日本のバレーボール界においては正直、女子は伸びしろが少ない。すでに世界的な位置付けが高いのもある。ここからどれだけ可能性があるかというと、たくさんはない。若い選手に期待はしているけど、常に高さがない。木村沙織以上の選手が今の10代の選手にいるかと言われれば、残念ながらいない。高さは心配な点だ。

 パワー強化も大事だが、日本は何といっても技術。リオデジャネイロ五輪で真鍋監督が苦労したのも、竹下佳江に代わるセッターや、セッターを生かすためのサーブレシーブとか。細かいつなぎなど、プロしか分からないようなプレーもある。中田久美新監督は、重箱の隅をつつくようなことをやっていかないといけない。

 中田監督の良さは、現役時代の悔しさを今でも持っていること。金メダルが当たり前、銀じゃダメという時代に若くして代表に入り、結果的に銅しか取れなかった。悔しさを持ってくれているのは大事なこと。

 男子は人気が出てきた。可能性という意味では、山内晶大をはじめ2メートルを超えた選手が何人かいる。そういう選手が3、4人くらいコートに立っている状況をつくり出せれば、世界にも近づけるかな。

 ただ、大きいとは思わないくらいがいい。小さいとは言わないが、世界では平均的なサイズだ。190ちょっとでうまい選手がいる。少なくとも、彼らがやっていることを2メートル超えの選手ができるようにならないといけない。ブロックができればいい、打てればいいと思っていてはだめだ。細部を詰めていけるチームを作るために、そういう選手が必要だ。

 ビーチに関しては、インドアよりもある意味では簡単。ビーチは前1人、後ろ1人。大きい選手は1人でいい。ビーチの方が大きい選手をそろえられる可能性は高い。リオ五輪で優勝したドイツのペアは181センチと185センチだった。その大きさだったら日本人でもいる。大きさという意味では差がないのは幸運だ。このチャンスは逃してはいけない。

 目標は3つメダルを獲得すること。もっと言えばビーチは2組出場できるから、(男女で)4つも目指せる。監督が自分の分身のような選手をどれだけ育成できるか、手腕に期待したい。

(2016年12月7日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。