<米テレビプロデューサー デーブ・スペクター>

 最近の五輪は大げさになりすぎていると思うんです。美化し過ぎだし、お金もかかり過ぎ。そもそもスポーツとして成り立っていない。だって陸上や水泳とかそれぞれの種目に世界大会があって個々に成立しているじゃないですか。なのにわざわざまとめる必要はないし、まとめること自体に無理がある。各種目の選手同士はみんな仲が良く普段から技を競い合っているから、世界大会の方がガチ。それが国旗の下に集まって「お前倒してやる」というのはしらけるんです。スポーツにナショナリズムって本当に必要なのでしょうか。

 世界平和のメッセージも掲げていますが、実際には戦争ばかりでしょう。なんの影響もない。愛で地球は救えないですよ。開会式も長すぎるし、選手がほとんど帰ってしまった閉会式も必然性がない。あれだけお金かけているから正当化したいだけにしか見えない。すべてが大事になり過ぎです。

 64年の東京五輪は意義のあるものだったと思いますよ。戦後からの立ち直りでインフラも整備されたから。でも、今の日本が世界に何を証明する必要があるんですか。ないでしょう。むしろ断ったほうが格好良いですよ。

 日本で開催するということで、全部の裏事情が見えちゃう。ソーセージはおいしいけど、作るところは見なくていいでしょう。それと同じ原理で、今僕らはソーセージ作りを見せられているわけです。だからしらけちゃう。お金の件だって、もっと大切なことに回した方がいい。だって、物を買えないとか、お昼我慢しているという人がどれだけいるか。たかが2週間程度のために膨大な費用をかけ過ぎです。開催地で手を挙げる国も減っているでしょう。だから僕は今のままだと五輪はなくなると思っています。

 どうしても続けるならコストを削減して安くする。そして大げさにしない。たとえば毎回ギリシャでやるとか、ある決まった都市を持ち回りでやるとか決めちゃえばいいんです。それなら既存の施設も使えるじゃないですか。

 そんなこといいながらも開会式は行きたいんですけどね(笑い)。行っていない芸能人に自慢したいから !

(2017年7月19日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。