フランスから日本に移籍して3年半がたちました。以前は故郷のフランスを中心に騎手生活を送り、毎日のように競馬に乗っていましたから、生で五輪競技を観戦できませんでした。JRAの競馬は週末だけなので、予定を合わせて見に行けるかもしれません。

私は騎手なので、馬術には興味があります。フランスでは馬術用の馬を専門に生産する牧場があり、馬も選手同様にアスリートです。装蹄師、獣医師、厩務員すべての人がチームになります。血統的にもトップの馬は10億円に迫る馬もいるそうです。高価で手入れが届いていても、生き物なので真っすぐ走らせることは簡単ではありません。意思の疎通など、小さなところにも鍛錬と技術が凝縮されているスポーツです。

個人的には、どんなことを技術的に盗めるか。やはりそこに目がいってしまいます。馬術の選手は鐙(あぶみ)が長くて、競走馬とは乗り方が全然違います。障害飛越の選手は馬のストライドと次の障害までの距離を逆算して、きっちり歩幅を合わせて飛ばすことができます。速く、強く走るのが競馬なら、優雅に見せるのが馬術。04年アテネ大会の総合馬術団体で金メダルを取った同郷のニコラ・トゥザンという選手は、アマチュアの競馬騎手としてレースに乗ったことがあると聞いています。競技は違うけど、人馬のコミュニケーションの取り方など、馬乗りという本質は一緒だと思います。馬術を見て競馬に興味を抱く人や、その逆も出てくれるとうれしいです。

母国ではフェンシング、陸上競技の人気が高いですね。夏季大会ではいつもたくさんの金メダルを取っている印象です(232個は国別4位)。よくフランス国歌の歌詞が注目されるんです。乱暴だって(笑い)。フランス革命の時にできたそうですが、あの激しい前奏を聞くだけでもモチベーションはトップになります。プレッシャーに負けるようでは、いい結果は出ませんから。

フランスの選手がいないときは日本の選手を応援します。でも、2つの国の選手がいるときは金メダルがフランス、銀メダルが日本で。そのときは怒らないでくださいね(笑い)。

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