東大陸上部で10種競技の選手でした。大学で本格的に陸上を始め、もともとは短距離でしたが、キャプテンの島本幸治さん(現ソシエテ・ジェネラル証券日本支社長)に勧められて始めたところ、結構ハマりました。

10種競技は1日目に100メートル、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400メートル、2日目に110メートルハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500メートルを競技しますが、非常に楽しかった。日本では競技人口もそう多くありませんが、「キング・オブ・アスリート」と呼ばれ、ヨーロッパでは選手がとても尊敬されている。私も、プライドを持ってやっていました。

面白いと感じたのは、早く走れるようになると幅跳びの記録も良くなり、助走のスピードがつくので棒高跳びも高く跳べる。「相乗効果」が出るんです。多くのことを効率よく同時にこなす力というのは、政治家という今の仕事にも役立っています。最後の1500メートルは倒れ込むようにゴールしますが、終わった瞬間、競っていた選手みんなが仲間という意識になる。あの達成感と連帯感もたまらない。スポーツマンシップの原点を見るようでした。

10種競技といえば武井壮さんが有名ですが、武井さんのような経験者が活躍されていることも、すごくうれしい。私の競技生活は大学の4年間だけですが、本当にいい競技にめぐり合いました。今でも体は鍛えています。毎日、腕立て伏せを100回。胸囲は100センチあります。17年6月には、今は外相の河野太郎さんと「陸上競技を応援する議員連盟」を立ち上げました。経験者として10種競技の知名度をもっと上げたい。応援したいと思います。

東京大会では、昨年のアジア大会で2連覇を果たした右代啓祐選手に期待しています。それを超えるような若い世代にも、ぜひ出てもらいたいですね。

これからは、スポーツ産業を元気にしていきたい。自動車産業は横ばいの米国でも、スポーツ産業は伸びています。日本の成長戦略の核は健康とスポーツだと思いますし、スポーツ産業の裾野を広げ、健康とスポーツを中心とした「幸せの経済成長」を実現したいです。スポーツ界では不祥事も増えていますが、指導する側の資格制度を整えることも、大事ではないでしょうか。ブラジルでは、12歳までそのスポーツを好きにさせることを徹底し、競技はさせません。子どもたちにいかにスポーツを好きになってもらえるか。教える側のスキルアップや制度づくりも、考えていきたいと思っています。

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